こんにちは。片岡です。私はWeb歴14年のディレクターです。成果にこだわるホームページ屋として大阪で活動しています。今回は「とりあえずのホームページ」や「名刺代わりのホームページ」について解説します。
まずは結論から。
「ないよりはあったほうがいい」です。しかし、最低限の体裁は整えましょう。画像が粗いとかダミーのままとかだったら、ないほうがマシです。
また、名刺代わりのホームページだと、面識のない方からの問い合わせはほぼ生まれないと思ってください。
「はじめまして」の方からの問い合わせも獲得したいのであれば、個別に対策が必要になります。未来の姿として、参考にしてください。
名刺代わりのホームページとは
名刺代わりのホームページは事業紹介や会社の紹介のために作ります。専門用語でいうならコーポレートサイトやブランドサイトなど。ブログや通販などの機能を持たず、パンフレットのようなサイトをイメージして依頼してくる人が多いです。名刺と一緒に「作らないと!」となってご依頼いただくケースがあります。
コトウリでいえば、「コトウリについて」「提供できるサービス(7ページ)」「相談する」「プライバシーポリシー」あたりでしょうか。合計で10ページくらいですね。
名刺代わりのホームページの役割
- 公式情報の発信
- 想いや商品・サービスの紹介
- 顧客からの信頼獲得
- 金融機関からの信頼獲得
- ビジネス用メールアドレス
公式情報の発信
公式サイトとして正確な情報を発信できます。営業時間、夏季・年末年始のお休みの情報などを掲載しておけば、「連絡がつかない…」なんてことはなくなります。転居による住所や電話番号などの変更や代表者の交代なども、公式サイトやGoogleビジネスプロフィールを更新すればお客様との行き違いがおきることはありません。
想いや商品・サービスの紹介
ホームページのいいところは、紙のようにスペースに制限がないところです。事業を通して社会に対してどういったいい変化を与えたいのか。商品・サービスがどういった人に合うのか、他とはどのように違うのかなどを紹介できます。
顧客からの信頼獲得
あなたが取引相手を調べた時に、検索結果に引っ掛からなかったら「実態があるのかな?」と不安になってしまいませんか?
私は名刺交換会などで、ちょっと気になったら相手の屋号などをスマホで検索して調べます。結果に出てこなかったり、イケてないホームページが出てきたら、そっと閉じます。
金融機関からの信頼獲得
銀行や信用金庫さんからの融資をお願いする際に、ホームページがあると有利に働きます。なぜなら、融資審査で要求される書類の中に、会社案内や商品・製品のパンフレットなどがあるからです。ホームページがあれば代用が利きます。顧客からの信頼獲得に似ている部分がありますね。
ビジネス用メールアドレス
個人と法人だと法人のほうが信頼度が高いですよね?なぜなら、法人は設立するために登記などの手続きをしたり、事務所や法人税の支払いなどビジネスへの投資をしています。個人に比べてビジネスに対しての真剣度が高い、しっかり仕事をしてくれるのではないだろうか?という推測が成り立つからです。
同様にフリーメールよりも独自ドメインを使ったビジネスメールのほうが信頼度は高くなります。info@ドメインのような共通のメールアドレスにするより、個別のメールアドレスにしたほうがいいでしょう。
ホームページとSNSの違い
ホームページの主なメリットは情報発信ができることです。SNSも情報発信できるじゃない!と思うかもしれません。ここではSNSとホームページの違いを中心に解説します。
1.ホームページは情報がコントロールできる
ホームページとSNSは情報の見せ方が異なります。SNSは基本的に時系列に並ぶのに対して、ホームページは情報を出す順番や内容をコントロールできます。
SNSだと事前に計画してからやらないと雑多になりますが、ホームページはコンテンツが貯まってきたら整理するのも可能です。
何をどのように伝えるかは大切ですが、どういった順番で伝えるかはさらに大切です。セールスではランディングページが有効ですが、これを代替できる手段はSNSにはありません。
また、SNSだと同じ枠組みの中で違いを出すのに対して、ホームページだと自由なデザインで表現できるのも大きな違いだと思います。
2.ホームページだと見込みの高い問い合わせを獲得できる
メールアドレスがあればアカウントがつくれるSNSに比べて、ホームページはつくるのに手間がかかります。わざわざ面倒な作業をしているのですから、SNSアカウントのみとホームページ持ちでは、ホームページ持ちのほうが信頼度は高いでしょう。どちらのほうがビジネスに真剣に向き合っているか?がわかるからです。
検索すれば情報が出てくるのが当たり前という世の中になっています。名刺代わりのホームページは簡単につくれます。「それすらないのは怪しい」と感じる人は一定数いるでしょう。これは個人事業と法人の違いに似ているかもしれません。
もっとも、コンテンツが豊富な個人事業のホームページと、ペラペラな法人のホームページだったら、どちらが信用に足るでしょうか。私は前者だと思います。もちろん、コンテンツが豊富な法人がもっとも信頼度が高いことは言うまでもありません。
3.ホームページは来てほしい人を集められる
ホームページはSNSに比べて露出先や露出する人を選べます。ホームページは対策するキーワードを選んだり、記事の内容を調整すればコントロールができるからです。
SNSもハッシュタグなどで露出先はある程度コントロールできます。しかし、シェアやおすすめへの掲載などアカウント側でコントロールできないものが多いため、ターゲットに合わせた運用はしにくくなります。
検索エンジン対策(SEO)のしくみは下記記事をご覧ください。
名刺代わりのホームページを作るデメリット
時間と費用、そして、見込み客の心に残らないというデメリットがあります。
名刺代わりのホームページ制作にかかる時間
制作を外注した場合は1~2か月程度かかります。ホームページの雰囲気や色、掲載するテキストや画像などを相談しながら進めていきます。外注する場合に使う時間は考える時間+打ち合わせの時間が目安です。もし、自分で作る場合は、調べながら作っていくので、3~5倍程度の時間がかかると思っていいでしょう。
名刺代わりのホームページ制作にかかる費用
ホームページを制作するには維持費と制作費がかかります。
維持費にはインターネットの看板代(ドメイン代)と土地代(サーバ代)があり、年1万円~2万程度。制作会社に支払う保守料などがあれば、それが加算されます。
制作費は難易度やページ数によって変動します。ページ数が少ないならば、20万~150万くらいで作れるでしょう。ご興味がある方は下記記事に詳しくまとめてます。
成果が出るなら維持費用も初期費用も惜しくないですよね。しかし、名刺代わりのホームページは成果が出にくいです。成果が出ないなら、年間1~2万円ですら惜しいですよね。20万~150万なんて回収不能なコストに感じます。
しかし、「コストがかかること」が最大のデメリットではないのです。
名刺代わりのホームページは見込客の心に残らない
これが名刺代わりのホームページを作る最大のデメリットです。
名刺交換して「ちょっといいかも・・・」と思った相手のホームページがいまいちだったら、「なんだ、気のせいか」となるからです。
もし「いまいちだった」という印象の相手から売り込みがかかったとしても、関係は進まないでしょう。むしろ足を引っ張る存在になりかねません。
だから、名刺代わりのホームページではなく、一定確率で問い合わせが取れるホームページを作るべきだと考えています。
一定確率で問い合わせが取れるホームページをどのように作る?
1.プロに依頼するか2.自分でで作るか、3.初期設定はプロに依頼して、更新は自分でやるといった3つの手段があります。
よっぽど慣れていない限りは、1または3をおすすめします。色々な業者と打ち合わせしながら、相性を確かめてほしいです。
しかし、プロに頼むとしても、自分で作るとしても、共通している作業があります。
あなたが大切にしていることや、お客さんがあなたに依頼する理由など、あなたの魅力の言語化です。ホームページの元になる要素だからです。
1.プロに依頼する
プロに依頼すると、ディレクターからヒアリングシートが届きます。予算があるならライターさんから取材を受けるかもしれません。ホームページの制作はあなたの魅力の言語化から始まるからです。
たまに「丸投げ」のサービスを見かけますが、99%成果の出ないホームページになるでしょう。なぜなら、作る側はあなたのビジネスに詳しくないからです。つまり、誰の胸にも刺さらないホームページです。お金のムダです。
ちなみに、Webディレクターは発注者によって金額を変えます。手間がかかりそうなら高めに、スムーズに進みそうなら安めにします。下記のような内容を把握しておくと得です。
2.自分で作る
金銭的な理由でこっちを選ぶ人もいるでしょう。自分で作るのはいい経験になります。
個人的には頻繁にやる作業は覚えて、めったにやらない作業はお願いするのが賢いと思います。
具体的には記事の追加や修正、コツは覚えるべきですが、サーバーやドメインの契約、ワードプレスのインストールなどは覚える必要はないと思います。
3.初期設定はプロに依頼して、更新は自分でやる
価格を抑えつつ、しっかりしたものがほしい場合はこれがおすすめです。
配管や電気工事はプロに頼むけど、部屋のリノベーションはDIYでやる感じに似てます。自分の好みのページを作っていけますから、理想のページができるでしょう。
しかし、ある程度の時間は投資することになります。時間がない方にはあまりおすすめできません。
お客さんがあなたのホームページに来るしくみ
名刺代わりのホームページを作るのは、起業家やかけだしのクリエイター、副業をはじめようとしている人、既存の取引先だけだと厳しいから新規開拓を迫られている事業者などが多いでしょう。あなたのスキルが圧倒的に高くて、友人・知人が豊富ならば心配いりません。紹介リレーで十分食べていけるでしょう。
しかし、社会的な知名度が低い状態で、仕事をとっていかないといけない場合はそうはいきません。あなたのホームページに来てくれる人は、誰でしょうか。そして、どうやって訪れるのでしょうか。
まずは「誰が」「どうやって」来るのかを考えてみましょう。
誰が来るのか
お客さんになる可能性があるのは下記の3タイプです。
- 友人・知人などのあなたを知っていて親しい人
- 名刺交換した程度であなたに詳しくない人
- あなたのスキルには興味があるものの、あなたを知らない人
どうやって来るのか
あなたやあなたのホームページを知るきっかけは下記のようなものがあります。
- 紹介
- 交流会
- 展示会
- チラシなどの紙の販促物
- 検索エンジン
- SNS
様々な組み合わせがあるように感じますよね。しかし、かけ出しの間は2の名刺交換した程度であなたに詳しくない人に固定でOK。きっかけは交流会や展示会などの「はじめまして」の機会を中心に考えましょう。
親しい人や紹介客は、ホームページに掲載している内容にあまり左右されません。そして、コンテンツが少ない段階で全く面識のない人があなたのホームページと出会うケースはほぼないからです。つまり、1と3は除外できるわけです。
さらに、ホームページに来てくれるということは、あなたに一定以上の興味を持ってくれています。つまり、交流会などでいい感じの自己紹介ができた人が大半になるというわけです。
名刺代わりのホームページに来る人たちは?
リアルの接点をきっかけにあなたに興味を持ってくれた人がホームページに訪れます。
検索エンジン経由だと、あなたの屋号や名前を知っている人が指名検索で来てくれます。というか、かけ出しの時期は指名検索またはQRコードなどのダイレクトでの来訪以外はほぼないと思ってください。狙ってコンテンツを作らない限り、「検索エンジンから偶然」なんてケースにはなりません。
ちなみに、名刺代わりのホームページを作ってから半年~1年程度経つと、「ホームページって意味あるの?」と思うでしょう。なぜなら、問い合わせが一通もこないからです。誰も見てくれてないのかも?と不安になるかもしれません。
なぜあなたのホームページは成果が出ないのか?
知名度を上げるために様々な交流会で名刺交換はしている。ポートフォリオを見せて売り込んでいるが、反応が鈍い。もしかしたら自分が顔を出している場所が向いてないのかもしれない。どこかいい所はないだろうか。などと考えて堂々巡り。色々なコミュニティに顔を出してみたりします。
成果が出ないのは、あなたのホームページに説得力がないからです。来てくれた人をがっかりさせている、期待を裏切っているから問い合わせが生まれないのです。
説得力がない理由を順番に見ていきましょう。
1.名刺代わりのホームページは情報量が足らないから
名刺を見て「あなたに仕事をお願いしたい!」となったことはありますか?(私はありません。)名前と経歴だけでお願いしたくなる人なんてひと握りです。超有名人でもないのであれば、名刺代わりのホームページが問い合わせなどの成果を生むことはありません。
なぜなら、あなたの良さが理解できて、あなたと一緒に仕事をすれば、どういった未来が描けるのかがわかって初めて「お願いしようかな」といった気持ちが生まれるからです。
だから、十分な情報が必要です。あなたのプロフィール、スキル、ポートフォリオ、他との違い、お客さんからの評判などを載せましょう。
また、名刺からホームページへ誘導をしましょう。成果が生まれやすくなります。
2.資金も手間もかけていないから
お金がないなら手間を、手間をかけたくないなら対価を払いましょう。情報の充実したページを作るなら、自分で掘り下げるか、取材で掘り下げてもらえばいいのです。
- 「ホームページなんかに時間をかけてられない」
- 「スタートアップだから費用がない」
といった意見をよく耳にします。
これは、
- 「あなたと会う時に身だしなみは気にしない」
- 「言わなくてもわかってくれるから説明しなくていい」
と言ってるようなものです。
ホームページのデザインはインターネットにおける身だしなみ、ホームページに掲載するテキストはインターネットにおける接客です。
コミュニケーションで手抜きをすれば、必ず相手に伝わります。あなたに興味を持ってくれた人に塩対応をするのですか?
過度に装う必要はありませんが、「来てよかった(よくわかった)」と思ってもらえるようなホームページにしておいたほうがいいと思います。
名刺代わりのホームページを推薦しているのはどんな人?
視点を変えて「名刺代わりのホームページを作るべきだ!」と言ってるところに目を向けてみましょう。彼らは名刺代わりのホームページではなく、ガッチガチのホームページを作ってます。彼らは作り込んだホームページじゃないと、集客力は生まれないし、成果も生まないと理解しているからです。
彼らは計算しつくしたホームページを持った状態で「名刺代わりのホームページを作りましょう」と言ってるわけです。彼らが提供しているサービスがなんだと思います?
月額課金制のホームページ作成サービスですよ。
彼らは契約が取れればいいんです。あなたの成果が出ようが出まいがどちらでも構いません。
だから、ホームページ制作のデメリットの部分に「効果を数字で判断しづらい」なんて項目を入れてます。クレームを防止するための予防線を張っているわけです。
- 「仕事はあまりできないですが、頭数は必要ですよね?」という人材派遣会社
- 「成果は出にくいけど、ホームページが必要ですよね?」というホームページ制作会社
信用できますか?
ホームページは効果を数字で判断するべきです。むしろ数字以外での評価はするべきではないと思っています。問い合わせが取れないコーポレートサイトなんて、契約が取れない営業みたいなもんです。「売上は出さないけどいいやつだから雇ってよ」と言われて、「いいよ」なんていう経営者はいないでしょう。
名刺代わりのホームページは短期間にしよう
創業間もない時期は仕方ありません。ですが、成長を目指すのであれば、名刺代わりのホームページは早めに卒業しましょう。ずっとガレージでオフィスをしていてもアップルのような企業にはなれません。
名刺代わりではなく、一定以上の確率で問い合わせや申し込みが取れるホームページを持ちましょう。そして、来てもらう人数を増やしていきます。そうすれば、ホームページから問い合わせが届くようになります。
しかし、全部作り込んでから公開、となるとものすごく時間がかかってしまいます。
だから、公開スピードを優先して主要ページのみ制作して公開するのはアリです。もちろん、将来的な理想像と計画をつくった上で、コツコツ実行していきましょう。
さて、ここからは成果の出るホームページについて、もう少し詳しく解説していこうと思います。
ホームページに盛り込むべきコンテンツ
一般的なコーポレートサイトだとしたら、下記のようなコンテンツを作りましょう。
- トップ
- 会社概要
- サービス一覧
- サービス詳細
- よくある質問
- お客様の声
- 事例紹介一覧
- 事例紹介詳細
- 問い合わせ
- プライバシーポリシー
サービスが複数あるならページ数は増えますし、更新ネタがあるならブログをつけるのもいいと思います。
最低限でも10ページ+αです。ひとりで運営している当ホームページですら、執筆時点で234ページあります。あなたはライバルのホームページと比べられて、選んでもらわないといけないわけです。
ライバルがひしめく中で、名刺代わりのホームページが選んでもらえると思いますか?
ページ数が少ないのは仕方ありません。せめて、載せる内容にはこだわろうではありませんか。
ウチは名刺代わりのホームページなんだけど、どうすればいい?
来てくれた人から選んでもらえるように見直しましょう。説得力のある文章や画像に差し替える。コンテンツが足らないなら追加すればいいですし、来てくれる人数が少ないなら来てもらえるように企画すればなんとかなります。
あなたがご自身で加筆修正ができるホームページなら、大した費用はかかりません。
もし、「修正するには費用がかかります」と制作会社に言われたとしたら、ご相談ください。いい方法を一緒に考えましょう。
まとめ:成果の出るホームページを作ろう
ホームページは素晴らしいツールです。しかし、うまく使えている人とうまく使えない人がいます。
名刺代わりのホームページは成果を生みません。なぜなら、名刺を見て「お願いしたい!」という人はいないからです。名刺代わりのホームページを見て、「お願いしたい!」とはなりません。
一定確率で成果が出るホームページを作りましょう。そして、露出を増やしましょう。そうすれば、きっといい結果につながります。もし、お悩みがあればお声がけください。いつでも相談に乗ります。
ホームページの客観的な意見がほしい人は、下記が参考になるかもです。