こんにちは。片岡です。ブログでの発信とオンラインセミナーでWebマーケティングの話をしています。ブログへのコメントはチラホラですが、オンラインセミナーだとたくさん質問をいただきます。今回のお題はいただいた質問の中からチョイスしました。
新しくWeb担当やマーケティング担当になった方からよくいただく質問なので、しっかりと答えてみようと思います。
A.ホームページを分析する頻度
私は定期健診と効果検証のために分析をしています。
定期健診の頻度は月に1回がもっとも多く、週に1回~四半期に1回(お客さんによって異なる)。効果検証は随時実施しています。
随時というのは必要な数が集まったら分析するという意味です。検証に必要な数は500~2,000程度。Web広告を使えばサンプルが短期間で集まります。3日に1回、広告予算によっては毎日分析する場合もあります。
トライアンドエラーを繰り返して精度を高めていきます。これがマーケターにとってはとても楽しい仕事です。ここまでで「なるほど!」「だよねー」と思った方もおられるでしょう。
ここからは、なぜ分析をするのか、定期健診や効果検証とは何なのか?などを、もう少し詳しく解説していきます。
そもそも分析は何のためにやるのか?
- 上司に報告するため
- クライアントに報告するため
- レポートを作るため
もちろん上記のような側面はあります。
しかし、分析は義務感から行うものではありません。
分析はホームページやランディングページをもっとよくするためにやるのです。
もっとよくするためには下記を把握しておきましょう。
- 何が望ましい状態か
- 現状はどうなのか
- 何が正しくて、何がおかしいか
基準をつくるために、定期健診と効果検証をします。それぞれ役割が異なります。
定期健診
まずはベースとなる数字を取ります。月に何人来てくれているのか、季節的な傾向はあるか、平日と休日で差はあるかなどです。一般的なBtoBのサイトなら休日は人が減りますし、BtoCのサイトなら休日前や土日祝祭日に増えます。
最初の数か月は傾向を掴みましょう。基本的には月次でいいと思います。もし、月間1万人以上来てくれているような人気のあるサイトならば週次で分析してもいいでしょう。
定期的に記録をとっていくと、傾向(トレンド)が見えてきます。このまま進むと成長するのか、停滞するのか、衰退するのかといった予想です。
横軸は月または週、縦にプロットする(点を書き入れる)のは、訪問者数や問い合わせ数などがいいと思います。
プロットしたら補助線を引いてあげましょう。現在やっている施策が実を結ぶのか、それとも見直す必要があるかが分かります。
ホームページは手をかければ答えてくれるツールです。言い換えるならば、公開した後に何もしないなら、停滞・下降トレンドになります。
イベントに出展したり、メディアに特集されれば、瞬間的に追い風が吹きます。しかし、長続きはしません。持続可能な集客はコンテンツの追加(施策)または広告が必須です。
効果検証
効果検証は施策ごとに行います。施策には追加と変更があります。
追加した新規コンテンツは一定期間後(3ヶ月くらいが基本)に、既存のコンテンツを変更した場合は2週間後に分析します。
新しくコンテンツを追加した場合
新しいコンテンツの追加は新商品・新サービスの紹介または集客数の増加が目的です。前者であれば比較的検証が簡単ですが、後者はGoogleのランキングによる影響が大きいです。
クリック率は1位で13.94%、2位で7.52%、3位で4.68%…10位だと1.32%といった順位との強い関係があります。実際の訪問者は月間検索ボリューム(月間でどのくらい検索されているか)によって決まります。あるキーワードが月に1,000回検索されているとしたら、1位は139件、2位は75件、3位は47件…10位は13件サイトに訪れるということです。
「ランキングが高いと流入が増える」から、参加者のほとんどは1位を目指します。検索順位を上げるには一定のルールがあり、これを検索エンジン最適化(Search Engine Optimization)、略してSEOといいます。SEOについては下記記事をご参照ください。
そして、SEOを踏まえて作ったコンテンツだったとしても、新規コンテンツがGoogleに評価されるまでには時間がかかります。超人気サイトならば公開してすぐに評価を得られることもありますが、一般的には2~4か月程度の時間が必要です。
どういった推移をするのかは下記記事で紹介しています。
既存のコンテンツを変更した場合
既存のコンテンツを変更した場合は、新規コンテンツの追加ほど時間を空ける必要はありません。
たとえば、サービス紹介(ページA)をしっかり見てもらえないという課題があって、閲覧時間を伸ばすために変更した(ページA改)場合などが該当します。
このケースの場合は変更によって閲覧時間が伸びたかを確認するために分析します。
評価は施策実行の前後2週間を比べてみればいいでしょう。
今回の例だと閲覧時間が伸びたなら成功。数字が変わらない、短くなったなら失敗です。成功ならそのまま、失敗なら元に戻して再チャレンジします。
施策の振り返りは「記録」がカギを握る
成功したのは仮説が合っていたから、失敗してしまったのは仮説が間違っていたからです。そのため、どういった判断材料から、なぜそういった仮説になったのか?といった振り返りをしていきます。
しかし、仕事を兼務しているとぴったり2週間とはいかず、数か月後に検証する時もあります。時間が経ってしまうと、後から思い出すのは大変です。記憶が食い違ったりするかもしれません。
だから、施策を実行する際にどのページをどういった狙いで変更するのか、どうなれば成功なのかを記録しておきましょう。このひと手間で検証がグッと楽になります。
上記のシートをプレゼントしています。よかったら使ってください。
Webサイト改善シート(クリックするとダウンロードが始まります。)
他社の成功事例が自社に当てはまる時もあれば、当てはまらない時もあります。なんだかんだ言っても、自社の独自のノウハウに勝るものはありません。
基準を定めよう
成功の基準も重要です。
たとえば、あるコンテンツがバズった(話題になった)とします。訪問者だけを見れば成功事例のように見えますよね。コンテンツを追加した時の狙いが「知名度を上げるため」ならば成功です。
しかし、「問い合わせを増やすため」ならば、バズったこと自体は成功ではありません。重要なのは問い合わせの数です。訪問者が増えたとしても、問い合わせが増えていないのであれば失敗です。
インフルエンサーに頼んで流入は増えたけど、あまり実利には結びつかなかったなんてこともあるでしょう。何が成功で何が失敗かはしっかり定義してあげましょう。下記記事でさらに詳しく紹介しています。
良い悪いの定義は組織の状況やホームページの成熟度合いによって異なります。
たとえば、「問い合わせ」を例にとってみましょう。
月に1件も問い合わせがこないホームページならば問い合わせがくるようになれば「すごい」となります。しかし、月に数百件の問い合わせがくるならば、質の低い問い合わせや金額感の合わない相手からの問い合わせは生産性の低下を招くノイズになってしまいます。
だから、貴社にとっての基準を定めましょう。
基準がないならば、まずは毎日問い合わせがくる(月3,000人集めて、30件の問い合わせがくる)状況を目指しましょう。
定量的な分析
定量的=数字で分析します。検索結果に何回表示されたか、何回クリックされたかといったホームページに来るまでの分析と、何ページ見たか、各ページを何分見たかなどのホームページに来てからの分析をします。
ホームページに来るまでの分析
Googleサーチコンソールを使って分析します。Googleサーチコンソールは、無料で使えるGoogleのツールです。どういったクエリ(キーワード)で表示されたのか、どのページの表示回数が多いのか(クリック回数が多いのかなど)などがわかります。
表示された回数が多いクエリ=Google的に評価の高いクエリで、クリックされた回数が多い(クリック率が高い)ページはユーザーにとって魅力的なタイトル・説明文が掲載されていると言えます。
ホームページに来てからの分析
Googleアナリティクスを使って分析します。Googleアナリティクスも、Googleが無料で提携しているツールです。2023年7月からUA(ユニバーサルアナリティクス)からGA4に完全移行しました。
どこから来ているのか、どのページが人気か、どのページが熱心に読まれているのかなどがわかります。
どういった視点で見ればいいのか?
目標(コンバージョン)が達成できているかを中心に見ましょう。
目標には「問い合わせ」「資料請求」などの直接的なものから、「メルマガ登録」「SNSフォロー」「資料ダウンロード」などのワンクッション置くものまでさまざまです。
私はホームページを使ってくれる人を増やしたいから、下記のようなミッションを掲げています。
そのため、コンバージョンだけではなく、閲覧数や閲覧時間なども評価の対象にしています。
定量的な分析の目的は?
課題を見つけることです。大きな数字、小さな数字、特異な数字が「ここらへんに課題があるよ」と教えてくれます。
たとえば、2位と5位だと、セッション数に約2倍の差(611件と339件)があります。しかし、コンバージョン数は5位の方が3倍多い(2位:10件、5位:30件)。これはなんでだろう?となりますよね。
原因を確認するために、2位と5位のページをそれぞれ閲覧します。これが定性的な分析です。
定性的な分析
定性的な分析とは、サイトのデザインや書いてある内容についての分析です。我々がどう思うのかではなく、「ユーザーがどう思うのか?」といった視点で分析します。
ホームページやランディングページの一番重要な機能は「情報伝達」です。そのため下記のような観点をチェックします。
- 読み込みスピードは速いか?
- テキストは読みやすいか?
- イラストや画像などはあるか?
情報を得る上でストレスがないかをチェックします。
次はコンバージョンが取れる内容になっているか?といった観点で確認します。
- キャッチコピーは自分のことだ!と思うか?
- イメージ画像はベネフィットを想起するか?
- リード文は本文を読みたくなる導入か?
ランディングページや製品ページなどキーになるページは成果に直結します。とても重要です。これらをチェックしながら各ページごとに改善のための仮説を立ててテストしていきます。
大まかな部分の改善が終わった、仮説の答え合わせをしたい場合は、Microsoft Clarityでユーザーの行動を確認することもあります。ここらへんの優先度は低いため、割愛します。
ホームページを分析して成果を出そう
定期健診で基準をつくり、定量データを元に良い部分と悪い部分を明らかにしていきます。なぜ悪いのか、どうすれば改善できるかについて仮説を立てて実験していきます。
ホームページは手をかければかけるほど応えてくれます。ぜひあなたのホームページ活用に分析を取り入れてください。
もし、自分でやるのが難しい場合は、お気軽にお声がけください。月に3社限定ですがポテンシャル診断というサービスもご用意しています。月初めにお申込みください。