創業50年以上、社員数が200名ほど、本支店合わせて7拠点の会社を支援した際のお話です。
Before
月間のユーザー数:2,000ほど
年間の問い合わせ数:300ほど
時間外の電話:毎日数件
After(1年後)
月間のユーザー数:4,000ほど
年間の問い合わせ数:1,500ほど
時間外の電話:月に数件
という結果を残すことができました。
支援前の問題点として
- ホームページがスマートフォン非対応
- SSL非対応
- 解析ツールが未導入
- 問い合わせ件数を誰も定量的に把握していない
- どういった問い合わせが着ているか把握していない
- 紙とFAXを使ったオペレーション
- 支店ごとにチラシを作っている
- サービス用パンフレットがない
といった状態でした。
他にも色々あったのですが、ホームページ・販促関連だとこのあたりが課題でした。
実施した支援内容
- ホームページをスマートフォンに対応
- SSL対応
- 解析ツールの導入
- 問い合わせ件数を定量的に把握
- 問い合わせの内容を定性的に把握
- 基本はメールとデータでのやり取りへ切り替え
- チラシ作成を吸い上げて本店に集中
- サービス用パンフの作成
を実施しました。
主な顧客接点がチラシや対面だったので、ホームページ単体の施策をするのではなく、連動した施策を打ちました。
最低限の状況を整えてから、ホームページに呼び込んでいくといった流れです。
順番に解説していきます。
ホームページをスマートフォン対応サイトへ
解析ツールが入ってないから、定量的に把握できなかったという部分もあったのですが、「BtoCの業態でスマートフォンに対応していないのはかなりマズイ」といった仮説がありました。
商社から仕入れも実施しているので、BtoBの側面もありますし、販路を広げようと思った際に協力会社を募る時の足かせになってしまいます。
Google Analyticsを導入して翌月にレポートを見てみると、スマートフォンでのアクセス比率は70%だったので、予想通り早急に対応しないとマズイ状態でした。
早急にリニューアルすることになりました。
ホームページをSSLに対応
SSLに対応していないと3つのデメリットがあります。
ひとつ目はサイト上での振る舞いを第三者が覗き見できてしまうので、お客さんが問い合わせフォームなどに入力している個人情報を盗まれてしまう可能性があるというユーザーに対してのデメリット。
二つ目は、上記の理由から「ユーザーへの配慮ができていない会社」あるいは「情報セキュリティの知識(リテラシー)がない会社」といった悪いイメージを持たれてしまう可能性があります。
最後はアドレスバーに「保護されていない通信」という表示が出てしまうので、見た目が悪い。
放置するのはマズイですよね。
レンタルサーバーが共用SSLを無料で提供するのも一般的になってきました。レンタルサーバーのサービスを使えば「SSLを導入したことで固定費が増えた」というデメリットはありません。
レンタルサーバーのサービスを使用せずにグローバルサインなど独自のドメイン認証サービスを利用したり、共有SSLではなく企業認証を利用する場合は、年間で1万~10万程度のコストが発生します。
「SSLを導入してください」と依頼する場合は、パートナー会社と相談して決めてください。
リニューアルする前にさっさとSSLに対応させました。
解析ツールの導入
何も導入されていなかったので、GoogleアナリティクスとGoogleサーチコンソールへの登録をしました。
「月間2,000人くらい来てくれてるみたいですよ。」と報告すると、「そんなに来てくれてるの?」との反応でした。
どうやら月間の問い合わせは20~30程度で、1日に1件あるかないか、仕事に繋がるような問い合わせはほとんどないことから、もっと少ないと思っていたようです。
解析ツールを導入することで、ホームページがどのくらいお客さんとの接点になっているのかが可視化できるようになりました。
「もっと使ってくれる方を増やしていきましょう」と意気込んだものです。
問い合わせ件数を定量的に把握
過去3年分の問い合わせをすべて吸い上げて、月ごとに多い少ないの傾向があるかを分析すると、過去3年間でも894件。
ユーザー数は不明なため、問い合わせ率は推測するしかありませんが、月間2,000ユーザーと仮定するなら1~2%といったところだったと思います。
支援後は7か月分で900件を超えたので、5倍働くホームページになったと言えるかもしれません。
問い合わせの内容を定性的に把握
定量的に把握するのと合わせて、どういった内容が届いているのかを分類しました。
「そんなに来てるの?」との言葉通り、仕事につながるような問い合わせはなかったです。
定型文で回答できるような基本的な内容の問い合わせ内容や、2ヶ月に1度同じ問い合わせをくれている常連さんがいたりして、個人的には楽しい分析でした。
「CRMを導入しましょう!」とか、「弊社のシステムでイノベーションを!」なんてことを言う人もいますが、しっかり活用できるようになるまではエクセルやGoogleスプレッドシートで十分です。この時もエクセルでやりました。
システムの導入は人の手では回らないくらいの量、あるいは管理するために複雑なスキルが必要になるレベルになってから検討しましょう。どういうデータが必要で何をするのかが分からずにシステムを導入しても、高いおもちゃが増えるだけです。
ホームページの情報量が不足していることや、ユーザーが必要としているコンテンツ自体が足らないことがはっきりと分かったので、ページの追加を提案しました。
FAXからメールへ切り替え
通販事業をしているのにリストの管理は出力した紙、発注処理は1件ずつ起票してFAXを送るという状態でした。
受注確認、出力、起票、先方の作業と複数の工程があるため、発注漏れも月に数件あり、顧客からのクレームも散見されました。
とは言っても、発注漏れがどの段階で起きたのかが分からなかったり、探す時に大量の紙をめくったり…と地球にも作業者にも優しくない仕様だったので、発注先にリストでのやり取りにさせてもらえないかと持ちかけると、発注先でも届いたFAXを発注データに加工しておりデータでもらえるのは非常に助かるとのこと。以後リストでのやり取りになりました。
漏れがあった時もデータが残っているので、どの段階でミスが発生したのかが分かるようになり、ミスは激減、結果的にクレームも激減しました。
チラシ作成は本店に集中
作り方はデザインの「いろは」を押さえていないし、フォーマットも決まってない。
おまけに営業担当が思い思いに作っているから支店ごとチラシのクオリティがバラバラ、しかも営業担当にとっては慣れていない作業なので負荷が高く残業の原因になっている。
本店で使われていたチラシを見ると、数10年前に作ったであろうエクセルやワードで作られたチラシのひな形を修正して使っていました。望んで使っているのではなく、選択肢がないため我慢しているということが分かりました。
さらに、業者への発注やリースしているプリンターで印刷していることが多いため、クオリティは低いのに1枚当たりのコストは高いといった社内の人間が誰も幸せにならない仕組みが回っていました。
詳しくは【事例紹介】チラシを外注から内製に変えたことで生まれたメリットを数字で解説で書いたので詳細は割愛しますが、「全部こっちで作るから要望があったらどんどん言ってください」と連絡しました。
古かったチラシの刷新や提供できるのに用意していなかった製品・サービスのチラシやパンフレット、営業資料などを80デザインほど作って、チラシにはすべてQRコードを設置するようにしました。
サービス用パンフの作成
80デザイン作った最初の1作品目です。
支援する際に全体像を把握したい、お客さんと感覚が近い内にお客さんの立場であると嬉しいパンフを作ろうということで包括的なパンフレットを作成しました。
コンセプトを複数作って、デザインなどは全社員参加のアンケートで決めたので、パンフレット作成が社内イベントになって非常に盛り上がりました。
営業担当のモチベーションが高く、熱心に撒いてくれたので、すぐに増刷がかかって嬉しかったのを覚えています。
「やりたかったけどできなかった。やってくれてありがとう。」と言ってもらえた時がとても嬉しかったですね。
ホームページ関連のまとめ
- ユーザーの使いやすいサイトへ改良(スマートフォン対応)
- ユーザーが安心できるサイトへ改良(SSLへの対応)
- ユーザーが必要としているコンテンツを追加
- 従来の顧客接点(チラシ)にホームページの入口(QRコード)を設置
- チラシとホームページの連動
などを繰り返すことで、ユーザー数が2倍に増加、問い合わせ数は5倍に増加といった成果につながりました。
件数だけが増えて質が低下したら意味がないため、ホームページの情報量に厚みを持たせることで、定型文で回答できるような基本的な問い合わせは激減させました。
ホームページの情報量が不足していると、基本的な問い合わせが増える傾向にあります。問い合わせの質が悪いと感じているなら、問い合わせの内容と対応する情報が足りているかなどを分析してみるのはいかがでしょうか。
販売促進は内製がおすすめです。ホームページの改善も内製がおすすめですが、チラシの作成・改善も内製がおすすめです。
下記記事は内製に切り替えることで、組織に生まれた変化やメリットについて解説しています。
よければこちらもご覧ください。
【事例紹介】販促を外注から内製に変えたことで組織に生まれた変化とは?
【事例紹介】チラシを外注から内製に変えたことで生まれたメリットを数字で解説
「将来的には内製したいけど、現状だと自力では無理」という方は、お気軽にご相談ください。
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