メールマーケティングとCRMで継続的なつながりを持つ

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インバウンドマーケティングは見込み客との関係を構築していくマーケティング手法です。見込み客の役に立って好感を抱いてもらい、いずれはファンになってもらうことで競争優位を図ります。インバウンドマーケティングはどういった商品・サービスを取り扱っていても有効です。

ただ、直感的に理解できる商品より、説明が必要な商品の方がより向いていると言えます。なぜなら、前者の売上と露出は比例しますが、後者は露出を増やしたところで売上にはつながらないからです。

具体的にどういうものがあるのかと言うと、BtoB商品やコンサルティングサービス、不動産、保険、ファイナンス、投資、ブランド品やこだわりの一品など単価の高い商品などが挙げられます。いわゆるじっくり考えてから購入する商品です。

これらの商品を衝動買いすることは、ほとんどないでしょう。家族や知人からの紹介が多くのきっかけになりますし、少なくとも「信頼できそう」と思わない限りは財布のヒモは締まったままです。つまり、信頼を獲得できなければ話すら聞いてもらえないわけです。

インバウンドマーケティングは見込み客との関係を構築するマーケティング手法です。見込み客の役に立つことで頼りになるアドバイザーやパートナーになっていくため、これらの商品・サービスと相性がいい手法と言えます。とは言っても、商品やサービスは複雑なので、1回ですべてを理解してもらうのは難しいでしょう。継続的な接触と、相手の興味に合った情報提供が必要になってきます。

ここで登場するのが、継続的な接触を取るのに役立つメールマーケティング(メール配信システム)と、相手の状況を把握するのに役立つCRM(顧客関係管理・あるいはシステムのこと)です。

目次

今更メールマーケティング?

「SNSでいいじゃない」と思うかもしれませんが、継続的なつながりを持つにはメールマーケティングが最適です。なぜなら、メールアドレスが獲得できるからです。SNSのアカウントを開設するのはメールアドレスですし、GoogleアカウントやAppleIDなども発行にはメールアドレスが必要です。

引っ越ししてライフスタイルが変わっても、就職や結婚でライフステージが変わっても、個人用のメールアドレスは同じものを使っている方がほとんどではないでしょうか。SNSやWebサービスの登録に使うから変更が面倒なんですよね。つまり、メールアドレスの獲得はお客様とのつながりの源流を押さえることができると言えます。

他にも

  • メールには流行り廃りがない
  • こちらのタイミングで情報を届けることができる

といったメリットがあります。

メールには流行り廃りがない

SNSはサービスが終了したり、アカウントがBAN(抹消されること)されると使えなくなりますが、メール配信システム会社がダメになっても、メールアドレスのリストを引っ越せば問題なく使えます。また、チャットでの短文コミュニケーションも生まれていますが、長文を読むならメールの方が適しています。ビジネスの場だと社内やプロジェクトチームでのやり取りはチャットですが、関係ができるまでのやり取りはメールが主役です。

通常メールは改変できないため、「言った、言わない」を避ける証跡になります。また、メールを受信するソフトを入れればどんな方ともつながることができます。つながる相手の使っているソフトを導入したり、アカウントを作らないといけないチャットツールに比べると、非常に楽チンです。ゆえに、ビジネスにおいては代替するのが難しいのではないかと思います。

「迷惑メールと判断されてブロックされる」「プロモーションフォルダに仕分けられて読んでもらえない」などのお悩みも聞きますが、これはメール配信システムやメールの送り手の問題です。SNSで発信した情報がすべてのフォロワーに届くこともなければ、みんなにいいねしてもらえるわけでもないので、これは別の次元で考える内容です。

こちらのタイミングで情報を届けることができる

ブログを書いてもすぐに読んでもらえるわけではないですし、ホワイトペーパーを作ってもすぐにダウンロードしてもらえるわけではありません。Webメディアは基本的に「待ち」の性格なので、仕方ない部分もあります。しかし、旬のネタは作ったタイミングで届けたいですよね。

メールを使えば、こちらの見てほしいタイミングで情報を届けることが可能です。お客さんによって見る媒体は様々なので、SNSや公式LINE(ライン)、SMS(ショートメール)などと併用しましょう。メールは見ないけどラインなら見る人もいれば、その逆もいますし、PC以外でリンクをクリックしない人もいるからです。

CRMとは

CRMとはCustomer Relationship Managementの頭文字をとったもので、日本語だと顧客関係管理といいます。もしかしたら個別のシステム名や自社で使用しているシステム名を思い浮かべた方もおられるかもしれませんが、CRM自体はシステムを指すものではありません。

ノートや手帳、エクセルでリストを作って、関係性を管理できてるならば立派なCRMです。

CRMシステムは効率的にデータを蓄積できるしくみです。

  • 4月1日 メルマガ登録
  • 4月3日 資料ダウンロード
  • 4月3日 営業Aから架電。情報収集しているとのこと。
  • 5月1日 ウェビナー参加
  • 5月10日 商談

上記のようなフォーマットに沿って、データが収集されていきます。自動収集するものもあれば、顧客担当の入力が必要なものもあります。重要なのはしっかり活用できているかです。

営業活動を効率的にしたいからCRMシステムを導入してみたが、全然効率的になってない(むしろ入力の手間が増えた)なんてことはないでしょうか。これは、「営業活動を効率的にしたい」という当初の目的が、いつの間にか「どのシステムを導入するのか」といった話にすり替わっているためです。

システムを上手く使えない理由は

  • 「顧客の状況をどのように把握するのか」
  • 「把握した情報をどのように営業に活用するのか」

といった具体的な行動や判断基準が決まってないからです。

よくある失敗例

  • DXっぽいから導入する。
  • 補助金・助成金が出るから導入する。
  • 社長が言ったから導入する。
  • 同業が成功したからウチも導入する。

といったノリで導入したけど、使える人がいなかったパターンや、

  • 使用者は営業、導入はIT部門が決定。
  • 使用者は営業、導入はマーケティング部門が決定。

決定者は使いやすいシステムを導入したつもりなのに、PCスキルやシステムへの理解度に差があって使用者にとっては使いにくい。これまでの手順を変えないといけなくなって、現場からブーイングが出るなど、決定者(選定者)と使用者の間に「現場」への認識にズレがあると失敗します。

どのベンダのシステムも、大体の機能は網羅しています。ベンダの営業担当の話を聞いていると、なんでもできそうに感じるピカピカのシステムが、自社に届くと動かし方の分からないポンコツに変わるなんてよくある話。使いこなすには相応のPCスキルやITリテラシーに加えて、営業の実務経験やマーケティングへの理解なども必要になるでしょう。

システムの前に人力でやってみる

どんなシステムを使うとしても、大切なのは「システムを導入すること」ではなく「システムをどう使いこなすか」です。

CRMシステムが蓄積した情報をどう使うのかイメージした上で選定しないといけません。おすすめは顧客の状況と営業プロセスをリンクさせて管理することです。Webサイトに訪れたユーザーがリードに転換させる方法や、リードに転換したばかりのタイミングで届ける情報などの管理方法や運用ルールを定めて、人力では間に合わなくなったらシステムの出番です。

最初はエクセルやGoogleスプレッドシートなどでやってみることをおすすめします。システムの便利さや素晴らしさがすごく実感できます。営業プロセスについては下記記事で解説してますので、よかったらご覧ください。

継続的なつながりを持ち、見込み客との関係を作っていくことで、競合がいない状態になることが理想です。この状況に持っていくためには、差異化をしていく必要があります。

差異化のヒント

最近は「差別化」って言葉はダメで、「差異化」と言うのが適切らしいです。先ほども書いた通り、差異化のゴールは「競合がいない状態」です。「牛丼」ではなく「吉野家」が食べたい。「ボールペン」ではなく「ゼブラのボールペン」がいい。「スニーカー」ではなく「アシックスのスニーカー」じゃないとねという状態です。私は先に挙げたブランドが大好きですし、よほどのことがない限り他に浮気することもないでしょう。

では、愛されるブランドになるにはどうすればいいのでしょうか。

方法は大きく分けると2つ。とことん尖るか、ルールを変えるかです。

  1. 〇〇専門
  2. 機能のトレードオフ
  3. ストーリーのチカラを使う
  4. 会社の理念に共感してもらう

キーワードは「住み分け」。中小企業は「競争」するのではなく「共創」していきましょう。

1.〇〇専門

尖った製品・サービスは競争することなく、住み分けができます。
ターゲットを絞って「〇〇専門!」と発信すれば、「はじめましての方」へ届きやすくなります。さらに、業界に特化すると汎用的な商品・サービスにはない独自のアイデアや機能が生まれ、業界人にとって嬉しい専門性に育ちます。

Webサイト制作会社は「何でも作りますよ!」と言うイメージがあるかもしれませんが、中には、建設業専門、医療業界専門、飲食店専門など、特定の業種を専門としている制作会社もあります。

専門性を活かして現場作業が多い建設業向けの外出先でも使いやすいシステム、医療業界向けに患者管理用システム、飲食店の経理やシフト作成をサポートするシステムなどを開発することで、他の業者が追いかけるのが難しい参入障壁を作っています。

2.機能のトレードオフ

多機能ではなく、必要な機能しか持たせない。機能が少ない代わりに低価格で提供する。一部の機能を高品質にする。などがあります。

必要な機能しか持たせない:お湯を沸かす

電気ケトルと電気ポッドを比べてみましょう。電気ポッドには「保温」の機能がありますが、電気ケトルにはないですよね。価格を見ると電気ポッドの最低価格は6,000円台ですが、電気ケトルの最低価格は1,000円台です。

機能が少ない代わりに低価格:タンス

大塚〇具とニ〇リのタンスを比べてみましょう。大塚〇具のタンスは見えないところも化粧板が貼られていますが、ニ〇リのタンスは見える部分は化粧板を貼っているけど、見えない部分はむき出しです。価格を見ると、〇トリのタンスは大〇家具の半分以下の価格で購入できるでしょう。

一部の機能を高品質にする:自転車

ロードバイクと電動アシスト付き自転車を比べてみましょう。ジャンルとしては同じでも、ロードバイクは「移動」、電動アシスト付き自転車は「輸送」に特化していると言えます。ロードバイクはスピードが出て爽快感があるものの、快適ではないですし、電動アシスト付き自転車は子育てや買い物、坂道の多い地域に最適ですが、充電の手間がかかります。

ガラケーに根強い人気があるのも、コードレス電話を求めている人はパソコンを必要としていないからでしょう。スマホの方が便利、みんな持っている、時代の流れ、などは個人の感想であって、義務でもみんなの総意でもないわけです。

3.ストーリーのチカラを使う

高単価のビジネスをしているところは、上手にストーリーのチカラを使っています。生き方自体がストーリーになっている某アーティストのタオルは5,000円します。ファンにとってのマストアイテムは、そうでない人にとっては高額に感じるでしょう。この差は、両者が抱いている価値観から生まれます。

「価値観」は言葉が示す通り、「価値」は「観点」によるとしています。観点、つまりモノゴトの見方はこれまでの環境や持っている知識によって変わるものの、「思い入れ」が強ければ価値は高いですし、思い入れが弱い(ない)なら価値は低くなります。

ストーリーのチカラを使うには第一に「記録しておくこと」と思うかもしれません。これは一部合っていて一部間違いです。正解は「活用を想定して記録しておくこと」です。適当に記録を残しておいても、データだけが膨大になって、探すのが大変ですし、いいストーリーが見つかっても、そのまま使えることはほぼないでしょう。大抵は、再現が必要になります。

活用する前提で各工程の写真やメモ、動画などで記録を残しておくと、この工程が大幅にショートカットできます。しかも、臨場感に溢れた文章・写真なのでクオリティも高まります。

新店舗を作る時や新商品を開発する際には、活用を想定して取り組みを記録してください。

4.会社への理念に共感してもらう

先ほどと似ているかもしれませんが、こちらはもう少し大きな枠組みです。
私はGoogleのユーザーファーストの姿勢に共感してブログを書いていますし、パタゴニアの姿勢に感銘を受けて社会貢献活動を始めました。勉強に使うボールペンはゼブラのジェットストリームですし、ランニングをするようになってからはアシックスのスニーカー一択です。

上記の違いにお気づきになったでしょうか。海外ブランドは行動自体を生み出していて国内ブランドは製品選択に留まっているのです。自分で書いて気づいたものの、国内と海外でスケールが違ってることにゾっとしました。

クラウンが好き、カローラが好き、プリウスが好きといった製品単位ではなく、メルセデスベンツが好き、BMWが好き、ポルシェが好きといったブランド自体を好きになってもらいます。一朝一夕に成し遂げることはできません。ただ、自分の行動を振り返ると「選択肢がひとつ」の状態になっているので、ブランディングに取り組まないと未来がないと思っています。

発信して共通点を見つけてもらう

「共感」には「発信」が必要です。

「発信する内容」に「自分との共通点」や「共感できる内容」があると関係が深まります。例えば、私は以前からG-shockを持っていたのですが、それほど付けていませんでした。時計は薄い方が袖にひっかからなくて楽ですし、スーツにマッチしないからです。しかし、G-shockが自分と同い年と知ってからは積極的にG-shockを付けるようになりました。話のタネになりますし、違和感がある方がストーリーを語りやすいからです。

いわば共通点から「付ける理由」ができたわけです。「40周年!」の広告で自分と同い年であることを知ったのですが、G-shockが発信していなければ知ることはなかったでしょう。

社会貢献のしくみを取り入れる

「商品購入代金の1~3%が〇〇団体に寄付されます」といった案内を見たことはありませんか?

環境、子育て、フードロスなどの課題に取り組む団体への応援になるというソーシャルグッドなしくみです。寄付やボランティアをするほど積極的ではないが、どちらかと言えば興味があるという方の心理にはたらきかける効果があります。似たような価格帯、似たような品質で、違いはよく分からない。ただ、A社は販売しているが、B社は社会に貢献できるとしたら、あなたはどちらから買うでしょうか。

モノがいいのは当たり前、機能や価格といった「従来の比較要素」に、「新たなる価値」が加わるので、選んでもらいやすくなったり、応援してもらえるようになります。また、社会貢献性の高い取り組みは「上手に発信する」ことで、メディアに取り上げてもらいやすくなります。

これらの活動を根付かせるためには、お客さんとのあらゆるチャネル(接点)での「コミュニケーション」、送り出す製品やサービス、デザイン、社会貢献活動などの「行動」に一貫性を持たせていきましょう。すべての行動に一貫性があると強力なメッセージになります。環境保護を訴えながらプラスチック製品を作っていたり、フードロスに取り組むと言いながら大量の廃棄をしてはダメということです。

競争するのではなく、住み分けができるように軸をずらす。自社の価値を再定義していきましょう。自社の価値を定義するには、ミッションなどを定めるのがおすすめです。下記記事が役に立つかもしれません。

まとめ:継続的に発信して自社のファンになってもらおう

差異化のヒントを元に自社の独自性・専門性を育て、お客さんの状況に合わせて、継続的に情報を届けましょう。

お客さんは共通点や共感できる部分を見つけてくれて、商品やサービスの品質に満足し、あなたのブランドを好きになってくれます。

あらゆるチャネルで一貫した体験をとどけるために、

  • 販促物のデザイン
  • 発信するメッセージ
  • 顧客と接する担当者(営業・事務など)

の品質を揃えましょう。「スタッフが一丸になる」ではなく、「スタッフを一丸にする」ためのインナーブランディングが成否のカギです。まずは中からなのは、人も組織も変わりはありません。

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