外注は便利です。
ですが、私は中小零細の販売促進は内製でやるべきだと考えています。
なぜなら普段は内製で十分ですし、スピード感が10倍以上は早くなるからです。
さらに、内製できないところが外注した場合と、内製できるところが外注した場合、後者の方が安くていいものが早くできます。
内製のメリットは下記記事で詳しく解説しています。
【事例紹介】チラシを外注から内製に変えたことで生まれたメリットを数字で解説
もちろん、自社では仕入れができないような媒体(TVCMや主要駅や商業施設へのデジタルサイネージなど)への出稿を考える時や、社内人材でデザインやプログラミングなど特別な技術が足りない時は外部の力を借りる必要はありますが、「おまかせ」ではなく「実現したいこと」や「具体的なイメージ」自体はしっかり持っていて、それを具現化するために外部パートナーの力を借りるという姿になって欲しいと思っています。
所帯じみてる例えで恐縮ですが、普段は自炊で好みの物を作って家族(自社スタッフ)を笑顔にしつつ、記念日などに百貨店でこだわった食材(広告媒体)を仕入れたり、いい感じのレストラン(外部パートナー)で豪華な食事を楽しむといったイメージです。
では、数字的なメリット以外に、内製に切り替えることでスタッフや組織にどういった変化があったのかについて解説していきます。
内製に切り替えることでスタッフ・組織に生まれた主な変化は
- 身近になった
- 自分事になった
- 企画が生まれる組織になった
といった3つです。
目標になるのは最後に挙げた「企画が生まれる組織になった」かと思いますが、一足飛びでたどり着けるものではありませんので、段階を追って説明していきます。
1.身近になった
別会社に依頼するのと隣の同僚に頼むのでは、心理的なハードルが大きく変わりますよね。
「門前の小僧、習わぬ経を読む」のように自分の範囲内にあるかないかで捉え方が大きく変わります。
身近になることで、どのような効果があったのかというと、
- 目に触れる機会が増えた
- 興味を持ち始めた
- 気軽に相談できるようになった
という効果が生まれました。
目に触れる機会が増えた
これまでチラシというものは広報担当が制作会社に依頼して、営業の元に届くといった「いつの間にか出来上がっているもの」でした。
それが、隣のデスクで悩みながら制作している過程を見るようになったり、プロトタイプについてのレビューを求められるようになります。
都会の子どもが初めて畑を見た時のような感覚に近いかもしれません。
いい感じのカルチャーショックを受けてくれていたと思います。
興味を持ち始めた
文書・資料作成ソフトとグラフィックソフトでは出来上がりに雲泥の差が出ます。
作り始めた当初は「すげー」ばっかり言われてた気がします。
名刺やチラシは営業担当にとってのコミュニケーションを円滑にするツールであり、不在の方へ情報を伝える飛び道具でもあります。
竹やりが鉄の剣にレベルアップしたら興味を持ちますし、「実はこの商品を売り込みたいんだけど」といった要望が生まれるようになります。
ちなみに、しっかりと設計されて作ったチラシであればOfficeで作られたチラシでも効果は出ますので、全体を否定するつもりはありません。あくまで得意分野や用途の違いなので誤解なきよう…。
気軽に相談できるようになった
制作物のレビューをお願いしたり、タネになるお悩みや願望、要望などについてのインタビューをすることで積極的に相談していると、自然とハードルが下がってきます。
「どんな意見でも歓迎します!」と事前に伝えてありますし、意見があまり出てこなかったら、「お客さんの反応はどうだったか」「分かりにくそうにした部分はなかったか」などこちらからレビューを頼むようにしていました。
ふんわりした要望を言語化するのは得意だったので、「これは〇〇ということでいい?」など情報を整理しつつ、要望があれば具現化するといった作業を繰り返していきました。
2.自分事になった
いい感じになったチラシを使ってみると、驚くほど反響が上がるようになったことで、ふんわりした興味が実利と結びつきます。
なんとなく楽しいし、これまでより楽だし、やった方が得となると、情報を取りに行くのではなく積極的に相談に来てくれるようになりました。
思うに
- アイデアが形になるのが楽しい
- お客の反応が変わって楽しい
- 成果になって楽しい
などがあったのかと思います。
アイデアが形になるのが楽しい
週末に相談した内容が翌週になるとプロトタイプが出来上がっていて、意見を求められる。
「いつの間にか出来上がってくるもの」ではなく、自分の意見が反映されて徐々に形になっていくので、わくわく感がある。
広報担当が現場の意見を聞かずに作ったのではなく、現場の意見から作っているので、ユーザーから乖離しているなどがないため、「なんかズレてるよね」「そうじゃない」といった意見が出ることがほとんどない。
といった要素があったのかなと思います。
一緒に作ると思い入れがありますから、お客さんへ伝える時も「僕が作ったんですよー」など伝える時の熱量が違うから成果が出たのかもしれません。
お客の反応が変わって楽しい
グラフィックソフトを使っていますから仕上がりがいいですし、視線はZで動く、整列、反復、隣接、強調といったデザインの法則を踏まえて構成しているため、読みやすい。
セールスコピーライティングの技術を使って要素を絞っているから伝わりやすい。しかも、希少性、緊急性といった申込みたくなる魔法をかけているので反響が出るようになります。
上述した内容はデザイナーであれば「当たり前」のことですが、ノンデザイナーにとっては想像の外にある内容なので思いつくこともなければ、実践できるものでもありません。
不在だったからチラシを置いて帰ったら、帰社中に電話がかかってきた。
チラシ見たんだけど、まだいける?と会社に電話がかかるようになった。
など、これまではなかった新しい興奮を手に入れることになりました。
成果になって楽しい
どんなチラシを撒くとしても労力は変わりませんが、反響のチラシを撒くことで、同じ労力への対価が大きく変わりました。
意見を出せば出すほど楽に成果が出るのですから、「考えた方が得なのかも?」といった風土が生まれ始めました。
年功序列でトップダウン気質の会社だったので、「意見を言っても変わらない」といった一種の諦めが漂っていたのですが、大きな変化が生まれたタイミングだったと思います。
3.企画が生まれる組織になった
「考えた方が得なのかも?」という芽生えから徐々に自信をつけていって、企画が生まれる組織になっていきました。
成功したのは、
- 低コストで試すことができたから
- 本当は創造的な仕事がしたいから
- スピード感があったから
といった要素があったからだと思います。
低コストで試すことができたから
外注するわけではないですし、チラシ印刷のコストも1/3以下に圧縮しているので、失敗してもリスクが低いというのが試してみようと思う大きな原動力になったと思います。
本当は創造的な仕事がしたいから
私はどんな業種、職種に就いている方でもクリエイティブな活動が好きだと思っています。
何かを創り出すって面白いですし、新しいことを考えるとわくわくします。
では、なぜ新しいアイデアが生まれないのか?
それは、新しいアイデアを出してもダメ出しされたことがある、ダメ出しされることが多かったという環境の問題でした。
発信することが嫌なのではなく、発信した意見を否定されるのが嫌、あるいは怖い、理由を説明するのが面倒くさかったみたいです。
私はどんな意見でも歓迎して、具現化できそうなものはすぐに具現化、もうちょっと練ってほしいものはアイデアを盛ってブラッシュアップしてもらうようにしていました。
意見を言った方が楽になる環境を作ることで、新しいアイデアが集まるようになりました。
誰しも本来やるべき仕事に集中したいですし、やりがいを感じて仕事がしたいですもんね。
スピード感があったから
朝相談したものが夕方にはプロトタイプになっている、雑談で「こんなのがあったらいいなー」と出たアイデアがいつの間にか企画書になってるみたいなことをしていました。
最初は面食らったみたいですが、元々自分が依頼したものが具現化されて楽しいので、徐々にテンポがアップしてくるんですね。
また、テンポが上がると全員のスピード感も上がってきます。
無理矢理ムチを入れるより、自分がけん引するつもりでペースを上げると全体のペースが上がりますよ。
鉄は熱い内に打てと言うように、情熱がある内にどんどん進めるのが吉です。
相談して「今忙しいからー」とか「一か月待ちだねー」となると、出来上がった頃には「そう言えばあったなー」になりかねません。
販促物や制作物の内製を始めよう
企画が生まれる組織になった先に「自走する組織」や「経営感覚が身に付いた組織」があります。
こちらは個々人の特性もありますし、たくさんの挑戦を乗り越えて徐々に成長していくものなので、振り返るといつの間にか出来上がっているものだと思います。
マネジメント層が欲してやまない組織を作り上げる第一歩になる内製。
現在チラシやWebサイトなどを外注しているのであれば、一部分でも内製を始めてみるのはいかがでしょうか。
きっと良い効果が生まれると思います。
「将来的には内製したいけど、現状だと自力では無理」という方は、お気軽にご相談ください。
コトウリは貴社のWeb活用・売上アップを伴走支援でサポートさせていただきます。
こちらもよければご覧ください。
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