- 頑張ってるのになかなか成果が出ない。
- 「コンテンツマーケティングの成功事例」として紹介されているサイトを見ても、自社でできる気がしない。
- メリットが本当にあるのか分からない。
お気持ちはよく分かります。
私も「本当かな?」と思っていた時代がありました。
紹介されている事例が大企業だったり、マーケティング会社だったりすると、自社の状況とかけ離れているように感じるんですよね。
もっと具体的に知りたい方のために、実際に使いそうなキーワードを10個、トップ10の100サイトを分析してコンテンツマーケティングのメリットが本当かどうかを検証してみました。
やったこと
- コンテンツマーケティングを実施している組織・団体をメリット別に検証。
- BtoB、BtoCそれぞれでのキーワードでランキングを抽出、運営組織とCTAを分析。
- コンテンツマーケティングの手本になるサイトをピックアップ
この記事を読むと、自社がコンテンツマーケティングに取り組む際にどの程度のメリットがあるかを具体的にイメージできるようになります。
また、無断転載はご遠慮ください。
転載する際は事後報告でも構わないのでご一報をお願いします。
コンテンツマーケティングの主なメリットは?
- 低コストでアクセスが獲得できる
- ブランディングできる
- 質の高いリードが獲得できる
- コンテンツを再利用できる
どうやって検証するのか
最初に上げた「低コストでアクセスが獲得できる」は検証できますが、それ以外はすべて推測となります。
検証した内容と根拠を記載しておきますので、ご一読ください。
検証項目 | 検証方法 |
---|---|
低コストでアクセスが獲得できる | 検証可。理由は長いので後述。 |
ブランディングできる | 指名検索数で推測は可能。 |
質の高いリードが獲得できる | CTAはどういったアクションを 求めているかで推測は可能。 |
コンテンツを再利用できる | 再利用コンテンツの存在。 表に出ていれば推測は可能。 |
低コストでアクセスが獲得できるのは本当か?
コンテンツマーケティングでめざすのは「お客さんが検索するキーワードで自然検索1位を獲得すること」です。
「自然検索1位のアクセス数を広告で獲得しようと思った時にかかるコスト」と「自然検索で1位を取るための労力」を比べれば、コストの比較ができます。
具体的なキーワードで調べてみましょう。
偏りがないように同じカテゴリでtoB、toCが検索しそうなキーワードを考えてみました。
カテゴリは税金、法律、住居、清掃、コーチです。
検索順位とCTR(クリック率)の関係
検索結果に表示されてクリックされた回数がアクセス数です。
検索結果の表示順位とクリック率には明確な相関関係があります。
Googleの最初の位置の平均クリック率は28.5%です。
出典:Google CTRについて知っていたすべてが(ほとんど)無効になった理由 | Sistrix
Googleのオーガニック検索結果で1位の結果は、平均CTRが31.7%です。
出典:500万件のGoogle結果を分析した自然検索のクリック率データ
といったように調査したタイミングや、分析に使ったデータによって諸説ありますが、概ね検索順位が1位なら30%がクリック、10位なら1%前後がクリックになっています。
2ページ目以降に表示される11位以下だと、クリック率は1%を下回ります。
取り組んだすべてのキーワードで1位をめざし、5位以内の入賞を確保しましょう。
検索ボリュームと1位になった時に獲得できるアクセス数
検索順位で1位を取ったら、月間で獲得が見込めるアクセス数です。
次は、1クリック当たりの単価をキーワードプランナーで確認して、月間かかるコストを計算します。
顧問先を探している税理士、会計士が「節税」で1位を取れたら、月間で3,620アクセスが見込めて、CVRが1%だったとしても毎月36件の相談件数が期待できます。
相談1件の獲得コスト(CPA)が9,600円、アフィリエイト報酬などでも1万~2万程度で設定されていることが多いので、こんなものでしょうね。
もし、1位を取れたら、年間で417万のコストが浮く計算になります。
検索ボリュームが大きいキーワードだと、1つのキーワードでも求められる検索意図もライバルも多いため、簡単な話ではありません。
上位表示させるには複数の記事が必要だったり、サイト全体の信頼性がないと難しいこともあります。
サイト全体の信頼性を高めるには、読み手に評価されるような品質の高いコンテンツを増やしていくしかありません。
コンテンツの作成、ユーザーからの評価、サイトの評価と順番に高まっていくのでどうしても時間がかかります。
広告は手っ取り早いですし、時間もかかりません。
ただ、流行の言葉ではなく、中長期的に集客が見込めるキーワードなのであれば、取り組んだ方が割安だったり、申し込みをもらいやすいサイトになる可能性があります。
ランディングページ1枚のサイトと、ノウハウやお役立ち情報が豊富に載っているサイトなら、どちらと相談したいですか?
ブランディングできるは本当?
コンテンツマーケティングは、未来のお客さんが悩んでいることや疑問に思っていることに対して、専門的かつ分かりやすい情報を提供して信頼関係を作り、お客さんになった後も継続して役に立つことでファンになってもらうのが目的です。
最初の出会いは小さな疑問でも、コンテンツを消費していく間に、相手への敬意が生まれることはよくありますし、それが続けば、「最新SEO情報と言えば海外SEOブログやThink with Google」といったように調べる人の中でサイト自体がブランドになります。
悩みで調べるのではなくサイト内で探すような動きになるので、コンテンツマーケティングを始めてからブランド名での検索数が増加していれば、ブランディングの効果が出ていることになります。
Googleサーチコンソールのクエリで確認できるので、取り組み前と取り組み後で変化があるかぜひ確かめてみてください。
しかし、外側から分析する場合は、指名検索数は分かりません。
代替案として例として挙げたキーワードのトップ10サイト、合計100サイトを分析してみました。
- 運営会社とCTAを設置して流入を活かそうとしているか
について確認してみました。
当初はSNSのフォロワー数が獲得できているか、エンゲージメント率(いいねされているかなど)がどうかを指標に入れていたのですが、あまりいいデータにならなかったので公表は控えます。
また、キーワードによってはコンテンツではなく、トップページや比較サイトの検索結果などが該当したキーワードもありました。
コンテンツマーケティングの事例についての記事であるため、こちらも除外しました。
ハウスクリーニング(10件中1件のみ該当)、家庭教師(10件中1件のみ該当)コンサルティング(全滅)はキーワードの指定がちょっと大雑把だったようです。
該当したのは63サイト。
大企業や官公庁が中心ですが、中小企業がランクインしているキーワードもあり、お手本にしたいようなサイトもありました。
お手本にしたいサイトが入っている4つのキーワードのランキングをご紹介します。
すごいと思ったサイトのみリンクを貼っているので、ご興味があればリンク先へ移動してください。
「還付金」のランキング
順位 | 運営組織・団体 | CTA |
---|---|---|
1 | 株式会社マネーフォワード | 〇 |
2 | 国税庁 | × |
3 | e-Tax | × |
4 | セゾンカード | 〇 |
5 | 税理士法人 ネイチャー | 〇 |
6 | freee株式会社 | 〇 |
7 | コトバンク | × |
8 | 株式会社さとふる | × |
9 | 警察庁 | × |
10 | 全国銀行協会 | × |
お堅いキーワードなので公的機関が半分を占めてます。
中小企業がひとつだけランクイン。
誰が言ってるのか(権威性)、サイト自体の信頼性や専門性がいかに大切かがよく分かるランキングです。
参考にしたいのはfreeeさん。
使いやすいですし、網羅性もすごい。
「節税」のランキング
ランキング | 運営組織・団体 | CTA |
---|---|---|
1 | freee株式会社 | 〇 |
2 | 株式会社トーシンパートナーズ | 〇 |
3 | 会社設立完全ガイド (ベンチャーサポート) | 〇 |
4 | 会社設立完全ガイド (ベンチャーサポート) | 〇 |
5 | ビジトラ(三井住友プレゼンツ) | 〇 |
6 | ビジトラ(三井住友プレゼンツ) | 〇 |
7 | プレジデントオンライン | × |
8 | 楽天証券 | 〇 |
9 | 株式会社マネーフォワード | 〇 |
10 | セゾンカード | 〇 |
会社設立完全ガイドは、ベンチャーサポートさんという組織で、行政書士、司法書士、社会保険労務士、税理士、弁護士など士業が集まって運営しているメディアです。
法律が関係している悩みについて多方面のサイトを運営しており、専門性の高さから様々なコンテンツで上位に食い込んでいます。
次に出てくる相続サポートセンターさんも、サイト名は違うものの運営は同じベンチャーサポートさんがしています。
「相続」のランキング
ランキング | 運営組織・団体 | CTA |
---|---|---|
1 | 三井住友銀行 | × |
2 | 相続サポートセンター (ベンチャーサポート) | 〇 |
3 | 国税庁 | × |
4 | 千葉銀行 | 〇 |
5 | 金融広報中央委員会 | × |
6 | 財務省 | × |
7 | 朝日新聞デジタル | 〇 |
8 | 三菱UFJ銀行 | 〇 |
9 | 全国銀行協会 | × |
10 | 全国銀行協会 | × |
朝日新聞デジタルのコンテンツは知識がないと損をする!家族を困らせない相続のキホンというものなのですが、こちらもベンチャーサポートさんのインタビュー記事です。
自身が持っている専門性を最大限に活かして検索意図を網羅するやり方はお手本にしたいところです。
データ容量が多いからでしょうか、ちょっとサイトが重たいのがもったいないところだと思います。
「家 建てる」のランキング
ランキング | 運営組織・団体 | CTA |
---|---|---|
1 | タマホーム株式会社 | × |
2 | suumo | 〇 |
3 | ニフティ不動産 | 〇 |
4 | 株式会社都田建設 | 〇 |
5 | 株式会社LIFULL | × |
6 | 株式会社LIFULL | × |
7 | 株式会社ジョンソンホームズ | 〇 |
8 | 株式会社ジョンソンホームズ | 〇 |
9 | 株式会社マイタウン | 〇 |
10 | パナソニック ホームズ株式会社 | 〇 |
コンテンツマーケティングの成功事例としてよく紹介されるsuumoさんや、LIFULLホームズさん、パナソニックホームズさんは他のサイトでも紹介されてるので、あえて紹介しません。
データをまとめている間、すごいと思ったのは株式会社都田建設さん。
静岡にある家づくりの会社さんで「ドロフィーズ」という理念を中心にサイト設計しているのも素晴らしいのですが、ブログ記事、事例紹介、小冊子やガイドブック、ステップメールでのレッスン、豊富なセミナーなどコンテンツのつくり方が本当に素晴らしいです。
ぜひプレゼントページを見てください。充実具合に驚くと思います。
株式会社ジョンソンホームズさんは北海道にある家づくりの会社さん。
スローな家を作っているだけあって、売り込むよりも世界観を大切にしていて、お客さんとじっくり向き合うためのコンテンツを作っていらっしゃいます。
質の高いリードが獲得できるのは本当か?
トップページやそもそもCTAが存在しない官公庁や公的団体を除けば、50件中39件(78%)はCTAがありました。
CTAで「〇〇してください」の内訳はこうなってます。
CTAのタイプ | 件数(割合) |
---|---|
問い合わせ | 11(28.2%) |
申し込み | 13(33.3%) |
リード獲得 | 10(25.6%) |
無料トライアル | 2(5.1%) |
サービス案内 | 3(7.7%) |
リードを獲得はCTAありの25.6%、対象となるサイト全体(50件)の20%(10件)です。
80%がやってないなら差をつけるチャンスだと思います。
もっとも、いかにコンテンツを用途別にデザインして、お客さんへ提案できるかが鍵になると思います。
どのページでもCTAを一括設置するより、見てもらっているコンテンツとの関連性がより強いコンテンツを提供する方がリードの獲得率は高くなるでしょう。
もっとも、興味を持ってコンテンツに出会ってくれたのですから、「読んでよかった」と思ってもらえて、さらにためになるコンテンツがありますよと提案すれば、興味の度合いは強いと言えるでしょう。
ちなみに、見込み客を集めるのではなく、求職者向けにサイトを設計したり、求職者向けのコンテンツを追加すると採用や求人の手助けになります。
参考 求人や採用に役立つコンテンツマーケティングの始め方
コンテンツが再利用できるのは本当か?
極端な例ですが、企業の賃貸オフィスの選び方を4タイプに分類|ザイマックス総研の研究調査をご覧ください。
ブログコンテンツなのですが、記事の最後にブログの内容をPDFでダウンロードすることが可能です。
記事を先に書いたのか、レポートを作って記事に変えたのかは不明なもののブログコンテンツとPDFでeBookにするというのは有効な方法です。
「ブログを読んだのに、PDFも必要なのか?」と思うかもしれませんが、試し読みで面白いと思った本があったら、手元に置いておきたいと思いませんか?
PDFならダウンロードしておけば後で読むことができますし、ヘッダーやフッターの連絡先から問い合わせをもらうこともあります。
特に5,000字を超えるような長文コンテンツだと一気に読むのがしんどいこともあるので、再利用を考えるのもひとつの手です。
もちろん、PDF用にレイアウトを整えておきましょう。
まとめ:コンテンツマーケティングのメリットは本当か?
- 低コストでアクセスが獲得できる
- ブランディングできる
- 質の高いリードが獲得できる
- コンテンツを再利用できる
しっかりと検証できたのは「低コストでアクセスが獲得できる」くらいですが、他のメリットについてもそれなりの根拠を提示できたのではないかと思います。
メリットを受けることができるのは、ライバルに比べて質の高いコンテンツを持っていることが前提になります。
良質なコンテンツを作ってメリットを享受できるようになりたいものですね。
コンテンツのつくり方やコンテンツマーケティングについてはコンテンツマーケティングとは?どこよりも簡単に解説しましたで詳しく解説しているので、よかったらこっちも読んでみてください。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。