特別な知識がなくてもネットショップが持てるBASEとshopify。
この二つのサービスは友人に相談されたら、いの一番に挙がるくらいおすすめしているサービスです。
友人がどのくらい本気なのか、時間を使う予定があるのかといった運営スタイルに合わせてサービスが選択できますし、デザインも豊富なテーマから選ぶことができて、理想に近いネットショップが持てるからです。
ただ、理想の運営方法や、ネットショップにかけている熱量は人によって様々で、「これでいいのだ!」となるレベルも人によって様々です。
今回は、「ネットショップを持ちたい」と思った時の、目標や条件を元にBASEとshopifyのどちらのサービスが合っているかを解説します。
ぜひ「自分がネットショプを持つならどっちがいいだろうか?」と考えながら読んでみてください。
まずは結論からお伝えします
私は相談を受けた時、手軽にやるならBASE、本気でやるならshopifyとアドバイスしています。
時間をかけないなら違いはそれほど生まれませんが、しっかりと時間をかけて運営するならBASEよりもshopifyの方が成果が出るからです。
コスト、キャッシュフロー、SEO、拡張性、業務効率化(自動化)といった3点からshopifyの方が大きいビジネスに育てやすいです。
逆に、大きいビジネスに育てるつもりはなく、それなりでいいという方はBASEの方が合ってるかもしれません。
BASEはこんな方におすすめ
- とにかく手軽に始めたい。
- スマホで完結したい。
- ネットショップにあまり時間をかけるつもりがない。
BASEの最大のメリットは「固定費がかからないこと」です。
初期費用・月額費用はずっと無料で、商品が売れた時や売上金を振り込んでもらう時に手数料を払います。
「一定期間売り上げがないアカウントは消します」なんてノルマもありませんし、アカウントの開設に必要なのはメールアドレスのみという手軽さです。
通常クレジットカード決済は決済代行会社と契約するか、直接カードブランドへ申請して審査を受ける必要があるのですが、BASEが間に入ってくれることで即時使える(一部翌営業日)ようになります。
本当にすごいサービスを作ったものだなーと思います。
shopifyはこんな方におすすめ
- 半年以内に15万円以上の売上が見込める(目指す)予定だ。
- (将来的には)自動化したい
- (将来的には)海外展開したい
shopifyの最大のメリットは「スケールメリット」です。
世界を股にかけるグローバル企業の規模を活かして、「これほどの品質をこんな価格でいいの?」と思うようなサービスを提供してくれます。
提携できるショッピングモールも複数ありますし、海外展開も容易にできます。
さらに拡張機能(アプリ)が非常に豊富です。
BASEには82のアプリがありますが、shopifyには6,637のアプリがあります。
では、さらに詳しく両者の違いを見ていきましょう。
BASEとshopifyを様々な角度から比較
- コスト
- キャッシュフロー
- SEO
- 拡張性
- 業務効率化(自動化)
といった5点を解説していきます。
1.BASEとshopifyのコストを比較
初期費用はどちらも無料です。
月額費用、決済手数料、販売手数料という3点が主なコストになります。
手数料 | BASE | shopify |
---|---|---|
月額費用 | 無料 | 29ドル~ |
決済手数料 | 3.6%+40円 | 3.25%~ |
販売手数料 | 3% | 無料 |
shopifyはプランによって月額費用と決済手数料が変わります。
国内の拠点が複数、海外展開の必要性などがないならベーシックプランで十分です。
プラン名 | ベーシック | スタンダード | プレミアム |
---|---|---|---|
月額費用 | 29ドル | 79ドル | 299ドル |
決済手数料 | 3.40% | 3.30% | 3.25% |
AMEX | 3.90% | 3.85% | 3.80% |
JCB | 4.15% | 4.10% | 4.05% |
shopifyペイメント以外 | +2.00% | +1.00% | +0.50% |
ベーシックの下にライトプランが、プレミアムの上にshopifyplusというプランがあります。
ライトプランはネットショップではなく、カート機能(ボタン)のみを利用できるプランで、shopifyplusは月商1,000万以上の大規模ショップや大企業向けのプランで一般的ではないので割愛しました。
shopifyのプランが素晴らしいのは、プラン間でのスペックや機能の違いはなく、スタッフアカウント数や在庫の拠点数、海外ドメインなど拠点数が増えたり、海外展開するといった事業規模の拡大に合わせたプランになっているところです。
先払いでの割引があります。
(1年で10%オフ、2年で20%オフ)
売上がないならBASEがお得、売上が増えるごとにshopifyがお得になります。
もう少し具体的にシミュレーションしておきましょう。
売上がゼロの場合BASEとshopifyのコストはいくらか?
手数料 | BASE | shopify |
---|---|---|
月額費用 | 無料 | 3,190円(29ドル) |
決済手数料 | 0円(3.6%+40円) | 0円(3.40%) |
販売手数料 | 0円(3%) | 無料 |
合計 | 0円 | 3,190円 |
売上がゼロの場合は決済手数料や販売手数料はかかりませんが、月額費用は発生しますから、固定費がそのまま負担になります。
10万円の売上があった場合BASEとshopifyのコストはいくらか?
5,000円の商品が20個売れた場合で計算します。
どのクレジットカードで決済されたのかで金額が変わってくるのですがVISA、MASTERなどで決済した場合(3.40%)から掲載します。
サービス名 | BASE | shopify |
---|---|---|
月額費用 | 無料 | 3,190円(29ドル) |
決済手数料 | 4,400円(3.6%+40円) | 3,400円(3.40%) |
販売手数料 | 3,000円(3%) | 無料 |
合計 | 7,400円 | 6,590円 |
その差810円。
BASEの決済手数料の計算式は、100,000×3.6%=3,600円+800円(40円×20回)となります。
次は最も割高な手数料になるJCB(4.15%)で計算した場合
サービス名 | BASE | shopify |
---|---|---|
月額費用 | 無料 | 3,190円(29ドル) |
決済手数料 | 4,400円(3.6%+40円) | 4,150円(4.15%) |
販売手数料 | 3,000円(3%) | 無料 |
合計 | 7,400円 | 7,340円 |
為替レートや商品単価によって多少は前後しますが、10万円あたりが境界線になりそうです。
100万円の売上があった場合BASEとshopifyのコストはいくらか?
商品単価は5,000円で200個売れたとします。
サービス名 | BASE | shopify |
---|---|---|
月額費用 | 無料 | 3,190円(29ドル) |
決済手数料 | 44,000円(3.6%+40円) | 34,000円(3.40%) |
販売手数料 | 30,000円(3%) | 無料 |
合計 | 74,000円 | 37,190円 |
月商が増えれば増えるほど固定費の割合は小さくなります。
2.BASEとshopifyのキャッシュフローを比較
振込手数料と入金サイクルについて比較してみましょう。
サービス名 | BASE | shopify |
---|---|---|
振込手数料 | 250円 | 無料 |
事務手数料 | 500円(2万円未満で発生) | 無料 |
入金サイクル | 申請から10営業日後 | 翌週金曜日 |
shopifyは申請しなくても売上があれば振り込んでくれます。
金額、サイクルともにshopifyが圧勝ですね。
BASEには「お急ぎ振込」という翌営業日に振り込んでもらえるシステムがありますが、申請金額の1.5%が手数料になるのであまり多用はできないかと思います。
3.BASEとshopifyのSEOを比較
「コンテンツの質」が同等だと仮定するなら、タイトル、説明文、URLなどの細かい工夫(テクニカルSEO)をしているコンテンツの方が評価が高くなります。
そして、ひとつひとつのコンテンツの評価が積み重なったものがカテゴリですし、カテゴリの評価が積み重なったものがサイトやドメインの評価になります。
詳しくは下記記事で解説しているので、ご興味があればどうぞ。
関連記事 【今日から始めるSEO対策】#2キーワードとテクニカルSEO
SEOで集客しようと思ったら、小さな積み重ねが不可欠なのですが、shopifyは十分にSEOを施すことができますが、BASEはSEOを施す機能が不十分です。
例えば、ブログ記事を書いた際にページタイトルや説明文、URLを設定することができるかできないか。
shopifyは見出しや画像の代替テキストを設定できますが
BASEは見出しは1種類、個別のアイキャッチ設定はできず、画像の代替テキストの設定はできません。
shopifyのSEO設定はCMSの中でもトップクラスです。
表現の豊かさや読みやすさなど装飾はWordPressに一歩譲りますが、ロボットが見るデータとしては同等です。
SEO設定ができたり、ブログが無料で使える時点で無料系のネットショップの中ではBASEはトップクラスなのですが、shopifyと比べると見劣りしてしまいます。
参考記事 BASEとSTORESとカラーミーショップを徹底比較【無料で作れるネットショップ】
そもそも、BASEはSEO設定やブログなども拡張機能のひとつになっているので、使わない方も多いのだと思います。
shopifyに素晴らしい機能があったとしても活用しなければ、ないのと一緒ですからね。
4.BASEとshopifyの拡張性を比較
拡張性として、機能と成長性(販売チャネル)という軸で比べてみました。
BASEもshopifyもネットショップのコア機能は運営が開発していて、追加の機能が必要ならアプリを利用するという設計思想は非常によく似ています。
デフォルトになっている機能を比べるとBASEはとても簡素です。
shopifyのデフォルト機能をBASEで実装しようと思ったら、最低でも16のアプリを追加する必要があります(独自ドメインの設定、SEOの設定、ブログ機能の追加など)。
BASEとshopifyの追加できるアプリ
サービス名 | BASE | shopify |
---|---|---|
機能の拡張性 (アプリの数) | 82個 | 6,637個 |
shopifyのアプリ数が異次元ですね。
選択肢がかなり豊富で、フルフィルメント、店舗管理、コンバージョン、店舗デザイン、マーチャンダイジング、マーケティング、カスタマーサービス、配送、製品の調達と販売といったジャンルのアプリがあります。
日本語対応アプリだと大分減りますがそれでも豊富です。
BASEはshopifyに比べれば数が少ないですが、BASEならではのユニークなアプリがあります。
- CAMPFIRE連携:ショップアカウントでクラウドファンディングができるアプリ
- Tシャツ、スマホケース販売:販売する商品を持っていない人に商品を提供するアプリ
- タオパオ新幹線や、仕入れサイトスーパーデリバリー:無在庫販売ができるアプリ
- NAWABARI(有料):特商法欄に自宅の住所を使わずに済むアプリ
用意されているアプリからもshopifyは企業向け、BASEは個人向けというのがよく分かるのではないでしょうか。
BASEとshopifyの販売チャネルの拡張性
サービス名 | BASE | shopify |
---|---|---|
販売チャネルの拡張性 | BASEショッピングアプリ | Facebook 楽天市場 Shopify Market(予定)など |
BASEは独自のショッピングアプリ(800万DL)を持っていて、出店しなければアプリ保有者と出会うことはできません。
BASEならではの魅力ですね。
shopifyは販売チャネルの追加も用意で、楽天との連携も可能です(楽天への申し込みは必要です)。
5.BASEとshopifyの業務効率化(自動化)を比較
インターネット通販と言ってもお互い人間です。
接触回数が多い方が印象に残りますし、節度を持って接するならば好感を抱きます。
例えば
件名:コトウリをご利用いただきありがとうございました!
このたびは・・・
件名:当店の商品はいかがでしたか?
もし気に入ってくれたなら、レビューをお願いします。
ご感想をいただいた方にもれなく〇〇をプレゼント。
さらに、毎月抽選で〇名にAmazonギフト券×円をプレゼント。
件名:ご購入いただいたお客様限定のお知らせ
〇〇販売××万個突破記念キャンペーンとして、購入していただいた方限定のクーポンをお届けします。
件名:新商品が今度出ます。
〇〇という新商品が〇月×日にリリースさせていただくことになりました。
先行予約を承っております。
といったような購入者に対しての適切なタイミングでの声掛けと定期的な接触は相手との関係構築に欠かせません。
購入後は自ショップの印象を強め、購買を促進するといった一連の営業活動のチャンスです。
個別に実施できるなら最高ですが、通常業務の中、購入したタイミングや届くタイミングを個別に管理して実行するなんてことは、ほぼ理想論(机上論)ですよね。
ただ、最適解が分かっていて同じことを繰り返すなら、メールマーケティングは最適です。
shopifyには業務効率化、自動化を助けるアプリも豊富で、メールマーケティングだけでも178件のアプリがあります。
一連の流れを新たに設定する時は仮定を元にシナリオやワークフローを設定して調整していきます。
ひとたび軌道に乗れば、メンテナンスの手間は減るのに成果は上がるという好循環がスタートします。
shopifyに対して、BASEにはマーケティング関係のアプリは10もありません。
BASEのメールマガジンアプリは無料で利用できるものの、過去に商品を購入し「ショップからのお知らせを受け取る」にチェックしたお客様のみの配信となるため、購入前の関係構築などは難しく、購入後のステップ送信やワークフローの設定など高度なマーケティング機能を保持していません。
自動化するほど売上が上がるのであれば、別のネットショップシステムへ移ることを検討する方が多いのではないかと推測されます。
運営スタイルに合わせてサービスを選ぼう
shopifyのポテンシャルを引き出そうと思ったら、SEOとしての知見や戦略的なカテゴリ設計、必要なアプリの選定、定期的な更新リソースやルールが必要です。
shopifyはWeb制作に慣れている方なら「作り甲斐がある」と感じるでしょうが、慣れてない方にすれば「面倒くさい」と思ってしまうでしょう。
だからこそ友人から相談を受けた時は「手軽にやるならBASE、本気でやるならshopify」というアドバイスをしています。
お仕事でご相談いただいた時は、制作はもちろん、戦略的なカテゴリ設計や必要なアプリの選定、SEOを加味したブログ記事の書き方や商品登録方法などをレクチャーしたりマニュアルを作ったりしています。
参考記事 【実績紹介】ECサイトリニューアル【WIXからshopifyへ】
お気軽にお声がけください。
BASEで一旦運営してみて、慣れてきたらshopifyに移るとか、shopifyを制作中のつなぎとして使う、BASEショッピングアプリとのつながりを維持するために支店として置いておくのも良いと思います。
BASEはSEOから見るとshopifyに一歩劣りますが、無料で利用できるサービスとしては最高峰だと思います。
放置していてもリスクはないので、やってみたいなーと思っているなら作ってみましょう。