「ことわざってよくできてるなー」と強く実感する出来事があった。シェアしておこうと思う。
私は普段の移動は自転車を使っている。(雨が降っている時以外)その日もお客さんのところへ向かっていた。信号が赤になって止まった瞬間。
「バキッ」
出てはいけない音が出た。
デブが乗り回しているから無理もない。壊れたサドルを初体験。ものすごく座り心地が悪い。
バネは偉大な発明なのである。
打ち合わせに遅れるわけにはいかないから、自転車屋に寄る時間はない。
しかし、ものすごくお尻が痛い。自転車の上で空気いす(たちこぎ)というよく分からない状態になっている。
信号待ちでスマホを取り出すと、サドルをポチった。
「サドルの交換くらい簡単だろ」
この時点ではこんなことを思っていた。3年くらい前に自分で交換した記憶があったからである。
「根拠のない自信」はやけどの元
翌日にサドルが届いた。便利な世の中だと思う。
3年前の記憶は・・・ない。
ブログで調べてみると「ラチェットってのがあると便利だよ」「自転車のメンテンナンスは10インチのネジがあるよ」などと書いてある。便利な世の中だと思う。さっそく近所のコーナンへ。
自転車のサドルは左右がボルトで止まっている。
ラチェットというのは、ボルトを締めたり緩めたりできる工具だ。
文明の利器を手に入れて、悠々と駐輪場に戻ると・・・ラチェットはボルトにはまらない。
小さすぎたんだ!
売り場に戻ってよく見てみると、ラチェット売り場にはたくさんのサイズがあった。
ブログの内容を信じていたから「10インチ」以外は目に入らず買ったわけだ。
前回は小さすぎたから、大きいサイズを買おうじゃないか・・・。
ガバガバですね。
私もラチェットも空回り。
こうなれば意地である。売り場に戻り、間のサイズをつかんでレジへ。
3連続で同じ店員さん。
4つレジがあるのに、なんで一致するんだよ。いいおっさんが迷走していて、恥ずかしいじゃないか。
・・・13インチが当たりでした。
店員さんに聞けば避けることができたでしょう。「返品すればいいじゃない」と思ったかもしれない。しかし、プレミアム商品券で購入すると返品不可。もちろん説明は受けている。「返品不可ですがいいですか?」に「大丈夫です!」と答えた。自信まんまんでも、後悔は先に立たないわけです。
色々あったものの、新しいサドルの座りごこちに満足。帰路についたのでした。
人間は忘れるいきもの
一部をきれいにしたら、他も気になってくる。サドルを新しくしたことですごく気になってきたのが「カゴ」。
工具もあるし、自分で交換すればお得でしょ
ということで、カゴをAmazonでポチる。
カゴが届くと交換に向かう。家にある工具を総動員である。ラチェットたちが活躍してくれるはず。
ボルトが回らない。
サイズが合ってないのかも!とコーナンへ。7インチを購入。未解決。
駐輪場でいろいろ悩んでいたら親切な人が手伝ってくれました。本当にありがとう。ボルトは回らなかったけど、あなたの好意で心は円滑になった。
店舗併設の自転車屋さんは持ち込みに対応してなかったけど、事情を話すとアドバイスをくれた。
「ウチはダメだけど、持ち込みを受けてくれるところもあると思うよ。」
すぐに調べた。
プロに相談(自転車屋さん)
5分で解決。あなたが神か。
見たことない工具を使ってました。(形状は覚えてるけど、名前は忘れた。)
いろいろ頑張った話をすると、「そんなもんですよー。僕らだって工具ありきですからね。」とあたたかい。見習わないと。
しかも、サドルの方も診てくれた。ダメな調整だったらしいw
あれから1ヶ月、工具には1度も触っていない。1年に1回程度なら出番がある…かもしれない。
自分でやった方がいいこと・自分でやらない方がいいこと
工具の代金は1,728円。高い金額ではないが、きれいな不用品になる可能性が高い。交換は数年に1回、次の機会が回ってきたら間違いなく忘れている自信がある。
時間は延べ4時間かかった。しかし、身に付かない。サドルは自分で交換できたけど、カゴは使った時間と感じたストレスが無駄だった。一連のできごとを整理した時に得た教訓がある。
それは、取り組む頻度によって選別しようということ。
- 毎日・毎週やるなら自分で取り組む。
- めったにやらないならプロにお願いする。
この方がお金も時間も得だ。
例として「自炊」と「自転車のパーツ交換」で考えてみよう。
自炊:毎日やるから自分で取り組む
私は食べることが好きだ。
外食も大好きだけど、普段は自炊している。野菜のたっぷり入った料理が作れるからだ。最初は同じものを何回も食べる羽目になってうんざりしたり、食材を使い切れずにダメにしていた。最近はレパートリーも増えた上、余すことなく使い切れるようになった。SDGsである。
コロナ騒ぎで外食の機会が減って、やむなく始めた自炊。移動時間込みでも外食の方が短い時間だったのに、最近は手間をかけずにパパっと作れるようになってきた。かける時間は減ったのに、料理のクオリティは上がった。慣れってすごい。
自転車のパーツ交換:めったにやらないからプロに頼む
私は機械に明るくない。
簡単にボルトを外せる工具を持っていないし、何が正解か思いつかない。さらに正解を聞いたのに忘れる始末だ。本質的には興味がないのだと思う。向いてないとか、苦手だと心底思う。
もし、自転車にトラブルがあったら、これからは迷いなく自転車屋に持っていくだろう。
トラブルや悩みに直面した時、自分で取り組むかどうかは「頻度」を判断基準に使うことにする。
サービスするのは「好き」「嫌い」
そして、他にも得た教訓がある。
- 「頑張ってる人を応援したくなる」
- 「分かってくれる人にはサービスしたくなる」
というものだ。
- 駐輪場で手伝ってくれた方は内装工事をしているらしい。
- 併設の自転車屋さんも最初は面倒そうだった。でも、持参した工具を見せると、対応がやわらかくなった。
- カゴを交換してくれた自転車屋の担当者さんは、一連の苦労話を聞くとメンテナンスをしてくれた。
どんな方でも「自分の仕事」や「自分のスキル」に誇りを持っていて、誰かの役に立ちたいと思ってる。でも、「役に立てる人」と「分かってくれる人」が一致することは少ない。だからこそ「自分のスキルが及ぶ範囲」で「頑張っている人(今回だと私)」を応援してくれたのだと思う。私だってそうだ。
「何もわかってない人」と「自分を頼りにしてくれた人」だと心情的な差がつく。「すべてを丸投げされた仕事」と「信頼してすべて任せてもらえた仕事」は似ているようで全然違うのである。料金は同じでも、前者なら「最低限の仕事」をこなし、後者なら「驚かせてやろう!」だ。どちらがすばらしいサービスになるかは言うまでもないだろう。
あなたが技術者とうまく仕事をする方法
では、どうすればすばらしいサービスを受けられるのだろうか?特別にお伝えする。
相手に敬意を持つ
単純すぎて拍子抜けしたかもしれない。しかし、こんな単純なことなのに、実践できる人は少数派。レアキャラだ。
使ってはいけない言葉
パパっと作ってー
簡単なものでいいから
こういった言葉を使ってないだろうか。
主語は料理でもイラストでもホームページでもアプリでもいい。こういった言葉を使うと関係が築けない。せっかく採用したデザイナーが、エンジニアが、ディレクターがすぐに辞めてしまう。取引先がコロコロ変わる。技術者との信頼関係がつくれないからだ。
パパっと作れるなら自分でやればいいのである。
使ったらうまくいく言葉
こういうの作れる?
これって大変?
こういった言葉に変えればいい。相談すればいいだけだ。そして、フィードバックを共有する。好評だったのか不評だったのか、クライアントは?お客さんは?実際の効果は?などなど、自分のやったことがどう影響したのかを伝えること。立派なレポートなんて必要ない。ひとことでも構わない。これで劇的に関係性は変わる。
くれぐれも序盤で相談するようにしてください。結論が決まった状態で相談されても何もできません。組織内だと相談のふりした命令になってしまうのでご注意を。
百聞は一見にしかず
自分のできないことができる人へ敬意があればうまくいく。
もし、敬意が持てないならば、自分でやってみるのがおすすめだ。短期間でも構わない。検索して自分でできそうか無理かを自覚するだけでもコミュニケーションのやり方が変わるだろう。
役割分担は大事だ。でも、分からないのに評価したり、軽んじたりする人がいる。分からないなら敬意をもとう。
「餅は餅屋」
めったにやらないことは専門家に任せよう。普段からやるなら身に付けよう。専門家とすばらしい関係を築けるように敬意をもとう。自戒を込めて。