「うさぎとかめ」になぞらえてDXを解説してみました

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DXとはデジタルトランスフォーメーションのことです。
デジタル技術を使って業務を変革することがDXの目的です。

DXが注目されるのは第4次産業革命といった時代背景や、日本政府が超スマート社会の実現としてSociety5.0を目指すといった大きな後押しがあることから、時流にあっているからです。
ただ、若干スローガンになってしまい、実際のアクションとしてのDXはおざなりになっている気がします。

なぜDXに取り組む必要があるのか、DXに取り組まないとどうなるのかといった「実際のところ」は、「よく分からん」となっている方も多いのではないでしょうか。

この実際のところについて、誰もが知っている「うさぎとかめ」になぞらえて解説してみようと思います。

目次

「うさぎとかめ」のあらすじ

足が速いうさぎと足の遅いかめがかけっこで勝負することになり、うさぎが負けるはずがないと油断して昼寝をした。
昼寝をしている間にかめがゴールしてかけっこはかめの勝ちとなったというお話です。

コツコツ努力することの大切さや、才能にあぐらをかいていると足を掬われてしまうという教訓が得られるお話です。
勤勉さなどを教訓とした童話には「アリとキリギリス」などもありますよね。

「うさぎとかめ」をビジネスの世界に当てはめてみる

かけっこが「ライバルとの競争」で、足の速さが「競争力」です。

明確なゴールが決まっているわけではありませんが、先行できればできるほどライバルよりも優位に立てますし、シェアを獲得することができます

かけっこ(ライバルとの競争)のやり方が大きく変わりました。

  • 「かけっこ」で、車に乗ってゴールへ向かう。
  • 「伝言ゲーム」で、伝える相手へ電話する。
  • 「成果が出るまでのテスト」をコンピュータにやらせる。

ツッコミが入るかもしれませんが、人力で頑張るA社と、道具を使いこなすB社のどちらが競争に勝つでしょうか?

B社ですよね。

デジタル技術が革命を起こした

これまでの足の速さ(競争力)は、スタッフのスキルやフットワークの軽さといったマンパワーをどれだけ集めることができるか(足し算)でした。

これからの足の速さ(競争力)は、データを活用できたり、デジタル技術を使いこなすことができるスタッフがいるか(掛け算)どうかです。

ヒトの代わりにコンピュータに仕事をしてもらえるようになったのが「第4次産業革命」です。
平成元年から平成30年で世界の企業ランキングに日本の企業がいなくなったのも、デジタル技術が使えた企業(GAFA)と使えなかった企業(日本企業)に大きな差が生まれたからです。

コンピュータに命令するのがプログラム

DX人材やデジタル人材、IT人材の育成を!と騒いでいたり、デジタル庁が設立されたのもデジタル技術が使えないとヤバイからです。

小学校や中高の教育要綱にプログラミングが入ったのも、これからは「コンピュータに命令できないとヤバイ」からなんですね。

国語は日本人とスムーズにやり取りするための勉強。
英語は海外の人とやり取りするための勉強。
プログラミングはコンピュータとやり取りするための勉強。

といったイメージです。

プログラミングができれば何でも解決するというわけではありませんが、プログラミングができればデジタル技術を使いこなせる素養が手に入ります。

では、デジタル技術を活用している企業について3つの例を見てみましょう。

DXの3つの例

  1. 営業の話
  2. Webサイトの話
  3. Amazonの話

例1:営業の話

昔ながらの営業スタイルで伸びてきたA社。
「営業は足で稼ぐ」ことをたいせつにしていて、対面営業を基本にしてます。

一方でデジタル技術を活用しているB社。
基本的には商談はWeb会議です。

  • 商材は同じ性能・同じ価格(100万)
  • セールスパーソンの技量(商談からの成約率)が同程度(20%)
  • 定時で帰宅(8時間)

といった条件かつセールスパーソンはフル稼働できたという前提でA社とB社を比べてみましょう。

定時で帰ってフル稼働の条件を考えてみましょう。
社内での事務作業や報告業務に2時間程度、1回の商談が1時間と考えるなら、対面営業は移動時間があるため、1日あたり3件程度が、Web会議は移動の必要がないため、倍の6件程度が現実的な商談数ではないでしょうか。

条件A社B社
商談数60件120件
成約数12件24件
売上1,200万2,400万

同じ技量のセールスパーソンなのに、1ヶ月で倍の差がついています。
A社のセールスがB社のセールスと同様の成果を出そうと思ったら、1日14時間ほど働かないといけません。

1ヶ月程度なら気合と根性で乗り切れるかもしれませんが、半年も続けば体を壊す可能性が出てきますし、無理強いしてしまえばA社のセールスパーソンは転職を考えるでしょう。

A社にとっても、移動が増えれば経費が増えるので利益が減ります。
出張など移動に時間がかかるものがあれば、1日あたりの商談数はもっと少なくなってしまうでしょう。

一方で、B社は移動がないことで距離に関わらず商談を重ねることができます。
どちらが継続性、再現性があるかは明白ではないでしょうか。

例2:Webサイトの話

Webサイトは、会社によって1日のアクセス数に大きな違いがあります。
物理的な限界とは無縁であるため、現実世界ではとても対応できないような人数でも対応が可能です。

Youtubeの月間利用者数は20億人、毎日の再生時間は10億時間とのことです。
映画館だったら対応できないですよね。

ある程度現実的な数字に置き換えてみましょう。
1ヶ月で100人しかこないサイトと、10,000人が訪れるサイトの差は100倍です。
問い合わせ件数や申し込み件数で比べるならば、もっと大きな差がつくでしょう。

先ほどのセールスパーソンよりも大きな差が生まれています。
Webサイトというデータの集まりに、仕事をさせることができているかどうかの違いです。

「問い合わせなんてほとんどない」ところもあれば、毎日のように問い合わせが来ているところもあるわけです。
もし、あなたが前者で、後者が新興ベンチャーだったらどうでしょうか。
行者としてリードはあるものの、スポーツカーに乗ったうさぎが追いかけてくる構図です。

いつの間にか追い抜かれてしまっていて、埋められない差がついてしまうかもしれません。
Webサイトは自分の代わりにインターネットで宣伝や営業活動をしてくれていると考えてみてください。

あなたは自社のホームページのアクセス数を把握していますか?

例3:Amazonの話

試行錯誤を繰り返している会社と、行き詰った時に改善を始める会社のどちらに未来があるでしょうか。

Amazonは1時間に1,000回のテストを実施して、「どうするのがベストか」を探して、改善を続けているそうです。
中には会議の議題にならないような不毛なテストや、業務中にやっていたら遊んでいるようにしか見えないようなテストもあるでしょう。

ただ、ヒトがやるならアイデアが豊富な開発者でも、せいぜい10回程度しかできないものを、コンピュータにやらせることで1,000回のテストを実現しています。

「失敗は成功の母」ですよね。
他から見れば無駄と言われる回り道も現在の礎になっていたりします。
できるだけ多くのチャレンジをすることが、成功につながるということは頷いていただけるのではないでしょうか。

勝てる「かめ」になろう

スポーツカーに乗ったうさぎが追いかけてこないことを祈っても仕方ありません。
勝てるかめになりましょう。

レースに勝つには

  • 誰かに連れて行ってもらう
  • 車に乗る
  • レース会場を変える

など色々なやり方があります。
ツッコミを入れたくなるかもしれませんが、ライバルがやってくるんだから、こちらも対策しないといけません。
嘆いたところで時代は止まってくれないですし、よかった「あの頃」が返ってくることもありません。

努力するべき場所や方向性が変わったと考えましょう。
コンピュータを使いこなせるようになれば、100人分の仕事をすることだって不可能ではないのですから。

勝てる「かめ」になる方法、それがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。

DXを始めてみよう

DXは「これをやれば大丈夫」といった方法はありません。
ただ、データを集めるために「数値」をデジタル化(デジタイゼーション)して、制約を減らすために「行為」をデジタル化(デジタライゼーション)することが、本格的にDXに取り組む際の準備となります。

「数値」や「行為」のデジタル化によって集まったデータやテクノロジーを利用して、付加価値を生み出したり、業務自体を変革するのがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。

よし、コンサルを雇って大規模なプロジェクトを始めようではなく、まずは様々なデータを取ってみましょう。

営業ならば、1ヶ月の電話数、商談数、成約数、平均契約単価などをデータ化(数値のデジタル化)した上で、目標達成度の高い営業と低い営業の何が違うのかを比較する。
紙の日報をWeb掲示板やシステムに切り替えて比較や参照ができるようにする(行為のデジタル化)などが考えられます。

製造ならば、製造工程を各種センサでモニタリングして、しきい値を設定。
しきい値を越えたら製造ラインをストップすることで、これまで検品の際に気づいていた不良品を減らすことができますし、なぜ起きたのかについての検証ができるようになります。
職人の腕や目に頼っていた「いい」「悪い」といった基準を3Dスキャナーで取り込むことで暗黙知を標準化することができます。

どういったデータを取るかは

  1. 何を実現したいのか(業務効率化、集客、生産性の向上など)
  2. 実現するには何を改善すればいいのか(製品、部署、広報など)
  3. どういったデータを取ればいいのか(定量・定性)

という順番で考えて、簡単なことから始めてみましょう。
きっと仕事への見え方が変わってきます。

「やらない」というのも選択のひとつです。

「ウチの業界にはこないよ」なんて楽観的に構えた結論ではなく、市場や自社のリソースを十分に熟知した上で「やらない」と決断するならそれはそれでアリだと思います。

ただ、この手段を取る場合は、「もしスーパーカーに乗ったうさぎが現れたらどうするか」については決めておきましょう。
小さい内に提携や買収を仕掛けるもよし、追いつかれたらすっぱり辞めるでもいいと思います。

でも、「考えない」というのはダメです。
方針を決めるのはリーダーの務めです。

やってみたいけど、何から始めればいいか分からないという方がいたら、お気軽にお声がけください。
状況を伺った上で、簡単なアドバイスはできると思います。

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