Web担当者はひとりでやってることも多い。孤独にさいなまれることもあるだろう。でも、ホームページを仲間と捉えることができればどうだろうか。
ホームページは複数のページで構成されている。あなたほど多くのスタッフ(ページ)がいる部署はないし、あなたほど複数のお客さんと接触している部署もない。会社に大きな存在感を示すこともできるし、ひとりで数億の売上を生み出すことも可能だ。
しかし、成果を出すにはホームページの成長が必須である。そのためにはホームページの良い部分を伸ばし、悪い部分を改善してあげる必要がある。何がよくて何がダメなのかを判断するのに役立つのがアクセス解析である。
本記事を読めば、すぐにホームページのアクセス解析をやってしまうだろうし、ページの改善に取り掛かりたくなるだろう。ぜひ読んでみてほしい。
アクセス解析とは?
あなたのホームページを一定の基準で仕分けすること。基準は何らかの「成果」、たとえば問い合わせの数や閲覧開始数などになることが多い。月に100件問い合わせを生むページAと、10件の生んでいるページBだったらページAがえらい。みんなページAを見習いなさい。
本当にそうだろうか?
製品ページと個人情報保護方針ページを同じ基準で判断していいのだろうか。営業と総務を、新人とベテランを売上で判断していいのだろうか。そんなはずはない。ページにはそれぞれの役割がある。世に評価されるまでの時間がある。ホームページは組織運営であり、チームプレーなのだ。
よって、成果の数だけでページを評価してはならない。ランキングはキャッチーで分かりやすい。レポートに載せると”映える”し、全体像を把握するのに有効なので積極的に活用しよう。しかし、アクセス解析をする上では何の役にも立たない。”今日の星占い”くらいに捉えておいて、アクセス解析をするあなたはもう一歩ふみ込んでほしい。
では、どうやって評価すればいいのか。ページを評価する方法に後述しているので、気になる方はジャンプしてほしい。次はアクセス解析をするメリットについて細かく考えていきたい。
アクセス解析をするメリット
ホームページが成長することが最大のメリットだ。しかし、これだと説明が足りない気がする。もう少し考えてみよう。
私が思うアクセス解析のメリットは
- 説明できる
- 検証できる
- ノウハウが貯まる
といった3つだ。順番に解説しよう。
1.説明できる
アクセス解析はホームページの健康診断みたいなものだ。ホームページを構成するすべてのページを様々な角度で評価することで良いページ・悪いページ、評価されているページ・されていないページ、成果につながっているページ・つながっていないページなどが分かるようになる。数字で判断できるので絶対的だし、グラフにすれば、知識の有無に関わらず誰でも分かりやすい。
そして、どのページを改善すれば成長するのかが可視化できる。上長にとって「わけの分からないもの」だったものが一転、「宝の山」に変貌するのである。Web担当者が直面する壁に「予算が取れない」という問題があるが、「上長が納得できる説明」が用意できれば、この問題はクリアできる。不測の事態に対処できるように、予算は気持ち多めに取っておこう(5~10%程度)。
2.検証できる
商品やサービス、業種や職種、ターゲットによって効果が出やすい・出にくい施策は確かにある。しかし「これをすれば絶対!」なんてものはない。
同じ商材でも売ってる相手が違ったり、同じ業種でも取り扱い商材が違ったりする。まったく同じビジネスをしているところなんてないのだから、他社の成功事例をそのまま使っても意味がない。必ず調整が必要になる。
成功しそうな策を実行して、効果が出るかを確認する。これが検証である。効果があったかどうかを判断するのは実行前の2週間と実行後の2週間を比べてみよう。効果があればそのまま、逆効果だったら元に戻そう。
検証する上で絶対にやらないといけないことがある。それは「記録を残すこと」である。記録を残さずに追加・変更を加えることは、単なる荒らしである。何が狙いで、なぜ変更したのかをメモに残しておこう。効果がなかったら変更前に戻せるようにバックアップを取っておくとさらに効果的だ。
3.ノウハウが貯まる
検証を繰り返すことで、あなたのホームページに効果のあった施策と逆効果だった施策が貯まっていく。これがノウハウである。
セミナーに参加したり、ブログや本を読むことも大事だ。しかし、知ってるだけでは意味がない。実践しなければいつまで経っても身に付かない。あなたにマッチした施策は検証を繰り返した先に見えてくるものだからだ。
あなたが上長を説得する時に使う理屈は下記である。
- ホームページを成長させるために独自のノウハウを身に付けたい
- ノウハウには検証(実験)が必要だ
- 改善する価値のあるページはこのページ
- 予算をつけてくれないだろうか
それでも頭をひねる上長にはこのページのURLを送ってみるといい。きっと、予算がつくことになるだろう。
では、どうやって改善する価値の高いページを見つけるのか。アクセス解析のやり方をご紹介しよう。
アクセス解析のやり方
成果の数だけでページを評価してはならない。と先述した。では、どう評価すればいいのか。答えは「量と質で評価する」だ。下記のような軸で評価することで、ホームページの現在と未来が見えるようになる。
- ページ:問い合わせ数×問い合わせ率
- ページ:資料ダウンロード数×資料ダウンロード率
- ページ:メルマガ登録数×メルマガ登録率
- チャネル:問い合わせ数×問い合わせ率
- ページ:閲覧開始数×問い合わせ率
- ページ:閲覧開始数×直帰率
- ページ:表示回数×クリック数
貢献度の高いページが現在を、ポテンシャルが高いページが未来を構成する。アクセス解析は「磨けば光るページ」を見つけることに真の価値がある。
まずは評価軸を見ていこう。
1.ページ:問い合わせ数×問い合わせ率

よくあるコンバージョンその1。すべてのページを問い合わせにつながったかどうかで評価することができる。問い合わせの数が多ければ多いほど貢献度が高いことが分かる。問い合わせ率が高ければ高いほど「響く」ページと言える。
2.ページ:資料ダウンロード数×資料ダウンロード率

よくあるコンバージョンその2。資料ダウンロードの方が問い合わせより心理的ハードルが低い。そのため問い合わせの手前にあるコンバージョンに設定することがある。会社案内、営業資料、ヒアリングシートなどがある。
3.ページ:メルマガ登録数×メルマガ登録率

つながっとく方が得だと思わせたきっかけがどのページ何なのかを特定できる。SNSのフォローに似ているが、SNSはシェアされたページは分かってもフォローされた理由が分からない。理由が分かれば再現できる。理由が分からなければ無駄打ちが増える。両者にある差は思った以上に大きい。
4.チャネル:問い合わせ数×問い合わせ率

ページをプロットするのではなく、どこから来たのか(流入チャネル)を分布することで、モチベーションの高いユーザがどこにいるのかが判断できる。いくらいいページを作っても、宣伝する場所が間違っていれば反応につながることはない。いい演説をしなければ誰も足を止めないが誰もいないところで演説しても意味がないのである。
5.ページ:閲覧開始数×問い合わせ率

呼び込むチカラ(集客力)とリードにつなげるチカラ(営業力)が判断できる。
6.ページ:閲覧開始数×直帰率

呼び込むチカラ(集客力)と次に進めるチカラが判断できる。直帰率ではなく、特定のページ(問い合わせページ、資料ダウンロードページ、製品ページなど)への移動率に着目すると、アシスト力が分かる。直接的な問い合わせにはつながっていないが、絶妙なトスを上げる名脇役の存在に気づけるかもしれない。
7.ページ:表示回数×クリック数

こちらは検索結果に表示された回数とクリックされた回数が分かる。左上にあればあるほどポテンシャルが高いと判断できる。
ページ改善についての考え方
4つに区切られたエリアのうち、右上に属するページを増やしていくことが改善になる。

たとえばあなたのホームページが9ページ(トップ1ページ、下層8ページ)だったとしたら、どちらの状況が望ましいだろうか?


Web担当者なら、誰もが貢献度の高いページが6ページの方が望ましいと思うのではないだろうか。
ページ改善の基本方針
問い合わせ率が高いのに問い合わせ数が少ないページは露出を増やす。問い合わせ数が多いのに問い合わせ率が低いページは説得力を高めるのが効果的。プライバシーポリシーページなどは評価の対象から省いて考えよう。

もし、すべてのページが右上に収まったとしたら、次のステージに進んだと思っていいだろう。より高いレベルでの改善をスタートすることができる。
ページ検証について

ページAの露出を増やし、ページIのコピーライティングなどを改善してみたところ

ページAは問い合わせ率・問い合わせ数がともに下がり、ページIは問い合わせ率を大幅に引き上げることができた。こういったケースの場合、ページAは元に戻して、ページIはそのままにしておく。

こういった成果を記録していくことで独自のノウハウが貯まっていくわけだ。上記のエクセルはプレゼントしている。よかったら使ってほしい。クリックするとすぐダウンロードされる。
ページの評価と改善はセットで考えよう!
評価するのは楽しい。ページの役割ごと、ダウンロードされた資料やメルマガ別に評価していけば、さらに面白いことになる。しかし、なぜ評価しているのかを忘れないでほしい。
改善するためである。Web担当者であるあなたの評価を高めるには、成果を出さないといけない。いくらいい分析ができたとしても、Webに詳しくない人には「で?」と言われてしまう。なんだったら「なんで改善できるものを放置しているの?」と戦犯扱いされかねない。
だから、評価と改善はセットで考えよう。また、アクセス解析を始めた初期段階は構造的な問題にぶち当たることが多く、改修が必要になることがほとんどだ。つまり、改修するための予算が必要になる。多くの方がここで諦めてしまうのだが、ここまで読んでくれたあなたならば、改善しない方がもったいないことは分かっているはずだ。
あなたの上長に
- ホームページを成長させるために独自のノウハウを身に付けたい
- ノウハウには検証(実験)が必要だ
- 改善する価値のあるページはこのページ
- 予算をつけてくれないだろうか
といった順番で説得を試みよう。
自炊を始めた当初は調理器具や調味料がたくさん必要になるし、日曜大工を始めたら工具が必要になる。自社のホームページをよくするのだから、プチリフォームは落ち着くまでの必要経費と捉えよう。1年以内に元が取れるだろう。
それでも頭をひねる上長には、このページのURL(https://kotouri.com/analyse/access)を送ってみるといい。きっと、予算がつくことになるだろう。当方にひと声かけていただければ、もちろん援護射撃する。
ホームページはあなたの助けがなければ成長できない。そして、ホームページの助けがなければあなたの数字は上がらない。チームメンバや新人スタッフの面倒をみるような気持ちで、ホームページやページに向き合っていただければ幸いだ。そして、この記事がきっかけであなたがアクセス解析を始めたなら、これに勝る喜びはない。
評価するには準備が必要
もしかしたら「どうやって数字を分析するのだろう?」という疑問を抱く方がいるかもしれない。データがなければアクセス解析はできない。ホームページのデータを収集する準備をしないといけない。
「タグ」と呼ばれるセンサーをホームページに設置すれば、アクセス解析ツールにデータが送られて確認できるようになる。アクセス解析ツールは無料のものもあれば有料のものもある。最も利用者が多いのは無料で使えるGoogleアナリティクスだ。おすすめのアクセス解析ツールの設置方法を紹介しておくので、ぜひ取り組んでほしい。
自分でするのが面倒なあなたへ
ホームページポテンシャル診断というサービスを提供している。
月に3社限定ではあるものの、5つの視点、57項目であなたのWebサイトを分析するサービスだ。レポートの作成までは無料、アンケートにお答えいただければ、すべてのチェック項目が手に入る。
月初めにぜひ申し込んでみてはいかがだろうか。
コメント