SWOT分析とは、自社の経営戦略を決定するために役立つ方法です。
有名な分析方法なので、基礎知識、実践編、コツと3章に分けています。
ご存知の方も確認の意味も含めてご紹介していきます。
SWOTの基礎知識
外部環境と内部環境を
Strengths (自社の強み)
Weaknesses(自社の弱み )
Opportunities (ビジネスの機会)
Threats (経営における脅威)
といった4つのカテゴリーで要因分析し、経営資源(ヒト・モノ・カネ)をどこに振り分けるのが最も効率が良いかを判断するための方法の一つです。
外部環境とは?
外部環境にはマクロ経済や技術革新、法令や社会環境・文化の変化や顧客ニーズなどの自社で変えることができない要因のことを指します。
ざっくり捉えるならば、世の中の流れ、いわゆる時流ってやつですね。
最近であれば、新型コロナウイルスの影響で変化した社会構造などが外部環境と言えるでしょう。
外部環境を分析することによって、ビジネスの機会 (Opportunities )と経営における脅威 (Threats)を見つけることができます。
内部環境とは?
内的要因には、ヒト・モノ・カネなどのほか、マーケティングの4P(あるいは4C)が関係してきますが、自社の努力で変えることのできる内容です。
内部要因を分析することによって、自社の強み (Strengths)、自社の弱み (Weaknesses)を知ることができます。
ヒト・モノ・カネ、4P、4Cといった言葉それぞれを詳しく見ていきましょう。
ヒト
人材や組織のことです。
中小企業であれば、個人の能力に依存する部分が大きいので、メンバーが持っている良い部分・悪い部分を書き出して、現在の業務に対して関連する能力を見つけましょう。
決してワンマン社長の悪口を言う場ではありませんw
モノ
商品やサービス。
他にない革新的な商品・サービスならば心配する必要はありませんが、大抵は競合が存在しています。
競合の商品・サービスの基本的な情報をリストアップした上で、自社の商品・サービスと比べてどの部分が劣っているのか、どの部分が優れているのかを客観的に分析しましょう。
ここでの「客観的」というのは消費者目線という意味です。
勿論ブランドイメージも含みます。
商品の場合は4Pで、サービスの場合は4Cで構成されているので、この4つの軸で商品・サービスの分析ができるという事になります。
※4P、4Cについてはカネの次に説明してます。
カネ
財力・資本力のこと。
商品・サービスを売り出し、軌道に乗せるまでにどのくらいの期間耐えることができるのか、人員や生産力を増強することができるのかなど計画に大きく影響してきます。
目算は辛めに立てましょう。
マーケティングの4P・4C
マーケティングの4Pとは、
Product(商品)
Place(立地・物流)
Price(価格)
Promotion(販売促進)のことです。
商品を分解するとこの4つの要素で構成されてますよね。
Product:ターゲットにとって魅力的な「製品」を開発
Place:ターゲットに届けるために最も効率的な「流通網や場所」(タッチポイント)を決定
Price:ターゲットに最適な「価格」を決定(安く大量に販売するか、高く少数に販売するか)
Promotion:ターゲットセグメントに対して最も効果的な「プロモーション」を展開して販売
例:女子高生(ターゲット)向けにつけまつげ(製品)を開発、頻繁に買ってもらうために400円(価格)に設定し、ドラッグストアとコンビニ(流通網や場所)に置いてもらう。インスタキャンペーン(プロモーション1)と告知用LP(プロモーション2)、CMは3代目JsoulBrothersに女装してもらったCMとローラを起用した2バージョン(プロモーション3)を制作。
サービスの場合は、4Pよりも4Cの方が合ってます。
マーケティングの4Cとは、
Customer Value(顧客価値)
Cost(顧客にとっての経費)
Convenience(顧客利便性)
Communication(顧客とのコミュニケーション)を展開するという考え方です。
例:レンタルビデオを借りに行くのが面倒な顧客に対して、月額500円(顧客にとっての経費)でインターネット上でレンタルできるサービス(顧客価値)。
返却時はポストへ投函(顧客利便性)、連絡はメールかDM(顧客とのコミュニケーション)。
例として挙げたのは某レンタル会社大手がしていたサービス。
最近ではAmazon PrimeやNetflixなどが定額の動画配信サービスをすることで返却する手間を省いてくれて、利便性が更に上がってますよね。
似たようなサービス(DVDのレンタル・動画の提供)でも、切り口が変われば顧客の支持が得られるという実例ではないでしょうか。
あなたの商品・サービスを4P、4Cといった枠組みに当てはめていけば、簡単に分析できるようになります。
ざっくりとでも構わないので、それぞれの枠組みを理解して実践に入っていきましょう。
SWOT実践編
SWOTの分析はS→W→O→Tの順番ではなく、
ビジネスの機会 (O)→経営における脅威(T)→自社の強み(S)→自社の弱み(W)という
外部環境→内部環境の順番で分析します。
これは無駄を減らすための措置なのです。
外部環境の分析
外部環境の分析はとてもシンプルです。
自社の置かれている環境の「変化」に注目しましょう。
その上で、
1.環境の変化はあるか、それはどういった変化か?
2.変化に対して付いていけそうか、競合の流れはどうか?
3.環境の変化が自社に与える影響はどういったものがあるか?
以上の3点をそれぞれ別々に考えましょう。
主観を入れずに客観的に状況を箇条書きしていきます。
内部環境の分析
内部環境の分析は、強み・弱みと書いてありますが、自社の得意なことや商品・サービスの良い部分をSへ、自社の苦手なことや商品・サービスの劣っている部分をWに箇条書きしていきましょう。
個人事業主や小規模事業者の場合は、自身やメンバーの得意なことと苦手なことを挙げていきましょう。
これでSWOTの項目が全て出揃いました。
この内容を自社の経営に活かすためにクロスSWOT分析というものをしていきます。
クロスSWOT分析
まずは4つの問いに答えていきましょう。
1.自社の得意なことを活かして、機会を掴むためにはどうすればいい?
2.自社の得意なことを活かして、脅威を機会に変えるためにはどうすればいい?
3.自社の苦手なことを補強して機会を掴むためにはどうすればいい?
4.自社の苦手なことが脅威になる可能性を避けるにはどうすればいい?
それぞれの項目が埋まったら、優先順位をつけていきましょう。
優先順位は図の数字の順番です。
大まかな優先順位のつけ方としては、
1.強みを活かして機会を掴む
2.弱みを補完しないと脅威になる
3.強みを活かして脅威を機会へ変える
4.弱みを補完して機会を掴む
という順番ですが、各カテゴリ内での優先順位のつけ方が難しい場合は、重要と緊急のマトリクスを作って判断するのが良い方法です。
重要と緊急のマトリクス
X軸に重要度、Y軸に緊急度を取ってカテゴリ内でのリストを振り分けます。
数値が欲しい場合は各項目の数値を10段階で評価すれば良いと思います。
この図にリストが書き込まれたら、優先順位が簡単につけれるはずです。
担当者レベルであれば、
1.重要かつ緊急度の高い課題
2.重要ではないが緊急度の高い課題
3.重要だが緊急度の低い課題
4.重要度が低く、緊急度も低い課題
という順番で対応していけば良いのですが、経営者の場合は、3.重要だが緊急度の低い課題に注目しましょう。
大抵この部分に、時間とお金がかかるもののクリティカルで、かつ経営者でなければ対応できない課題が埋まっている可能性が高いです。
SWOTのコツ
業界や競合に「変化」があった際に「自社に対してどのような変化があるのか」を常に考え続けることです。
売上がそれほど多くない場合は、強みや弱みも把握していますし、関係する外部要因がそれほど多くないので、いちいちリストを作らなくても有用な施策を思いつくことができるようになります。
業務を知ってもらうためにも新人にやってもらうと視野が広がるかもしれないので、自社の内容を確認するためにも良い研修ツールかもしれません。
まとめ
SWOT分析の目的は、分析結果から経営に役立つ策を考え、実行することです。
分析結果を集める時間が長かったり、判断材料が多すぎて眺める時間が長かったりするとその行為自体が「弱み」になりかねません。
できるだけ大きな要因に着目して売上を上げましょう。