消費者は自分自身の欲求を性格に把握したり、行動の動機を明確に理解したりすることができません。
「なんとなく」「いつもこれにしてるから」などの思考を省くことで、日々の生活を楽にしています。
そのため、企業側が商品・サービスに対してのアンケートを実施しても、商品・サービスの改善になるような「本当に欲しい情報」を得るのが難しいときがあります。
消費者が把握しきれていない部分に「企業が本当に欲しい情報」が含まれていることが多々あります。
そういった把握しきれていない情報を読み取るために有効なのがコンシューマーインサイトです。
コンシューマーインサイト(消費者インサイト)
コンシューマーインサイトとは、直訳すると「消費者を洞察する」という事です。
洞察する目的は、消費者の行動や思惑を読み取るためです。
言い換えると、消費者が顕在ニーズ、潜在ニーズ、無意識に抱いているニーズを掴むためと言えるでしょう。
ニーズをつかんで、自社の商品・サービスをより良いものにする。あるいは自社のプロモーションに活かしていきましょう。
顕在ニーズをつかむ方法
顕在ニーズは、消費者が問題点を自覚しており、言葉にできます。
だから、クレームの収集やアンケートの実施などでヒントが得られます。
定性的な情報はクレームから、定量的な情報はアンケートでとるのがいいでしょう。
潜在ニーズをつかむ方法
潜在ニーズはニーズに気づいていないものの指摘されたら言葉にできるのが特徴です。
そのため、ユーザーインタビューがもっとも有効な手段です。SNS(Twitter、Instagaram)を利用して商品・サービスにおけるイメージ調査でヒントを得ることができます。
ユーザーインタビュー
ユーザーインタビューといっても、ユーザーは潜在ニーズを言葉にできません。だから、「どうしてそう思うのですか?」という質問をしても「何となく」などの答えになるでしょう。まずはコンセプトシートや雑談していく間にポロポロでてくる情報を拾って話を盛り上げましょう。ユーザーに気づきを得てもらう事を第一にするべきです。
キーワードは「そう言えば・・・」「できれば・・・」です。こういった反応が出てくればしめたもの。「なぜそれを我慢していたのか」などの深堀りしていきましょう。
ユーザーへの感謝と共感を持ってお話すれば、いいインタビューになります。
SNS(Twitter、Instagaram)による調査
#(ハッシュタグ)検索で自社・競合の商品・サービスについて検索したり投稿に対してのコメントを読みましょう。
Twitterは基本匿名なので本音が拾えますし、Instagramではどういったイメージを持っているのかを調査ができます。
どちらのSNSでもDM(ダイレクトメッセージ)機能があるので、もし興味深い意見を持ってそうなアカウントの方がいれば、ユーザーインタビューの候補者になってもらえるように交渉するのも良いかもしれません。
無意識のニーズをつかむ方法
無意識に抱いているという事は直接的な不満はない、または慣れによってそれを不満と思っていないニーズとなります。
そのため、本人にとって自然ではあるものの、改善することで「より良い状況」にすることができるニーズであると言えます。
これは相手の行動観察(エスノグラフィー)がおすすめです。
行動観察(エスノグラフィー)
可能であるならば会場に呼び出すのではなく、自宅で使用している状況を記録してもらい、その様子、あるいは録画を分析(作り手が想定した本来の使い方との差異を読み取る、使用したことがない人に使用してもらうなど)した上でインタビューという形式を取るのが望ましいです。
ポイントとなるのは、「作り手が本来想定している使い方」と「実際の使用方法」との差異が「なぜ生まれているのか」という部分です。
この部分に着目して掘り下げていけば、既存商品の改善点や新商品のアイデアに繋がります。
コンシューマーインサイトをつかんで商品・サービス開発に活かそう
3種類のニーズをつかんで、経営に活かしましょう。顕在ニーズはトレンドと呼ばれるものなので、満たしていて当たり前。潜在ニーズに着目して、半歩先の提案をすると上手くいきます。
無意識のニーズはとてもデリケートです。本人の悩みや憧れ、あるいは嫉妬や欲望などのコンプレックスが元になっている場合もあります。そのため、「隠したい」「そっとしておいてほしい」という感情が含まれているかもしれません。直接的な提案をしても受け入れてもらえない可能性もありますので、コミュニケーションには気を配りましょう。