小売業の方や製造業のには身近な棚卸(たなおろし)。
期首や期末の数字を出すのに使いますが、業種によってはなじみがないかもしれません。
以前小売りをやってた時は残業しながらやったものですが、Web屋をやってると在庫という概念すらなくなります。
仕入れはありますけど、プロダクトは作り置きできるもんでもないですし…。
でも、コンテンツは棚卸できます。
- ネタ切れに困っている
- 新年度に向けて新しい企画を立てたい
- もっと魅力的なコンテンツを作りたい
こんなことを考えている方にぴったりなのが「コンテンツの棚卸」です。
ぜひやってみてください。
コンテンツの棚卸とは?
お客さん向けに作った営業資料や渡したテンプレート、レポートなどを収集して整理することをコンテンツの棚卸と呼んでいます。
主にローカルにあるコンテンツが対象です。
ブログコンテンツやクラウドで共有しているナレッジなどは閲覧数やシェア数で何が有益なコンテンツなのか判断がつきますが、ローカルの資料は判断がつきません。
集めてみると、思わぬお宝コンテンツに巡り合えることもあったりします。
コンテンツの棚卸をするとできること
ローカルに溜まっていく資料は、お客さんのために作っているので、「はっきりとした需要がある(あった)」のに、「1回使ったらそれ以降使わない」ですよね。
作るのにそれなりの労力がかかっているし、お客さんに喜んでもらってるのだから、クエリも満たしている良コンテンツなわけです。
「実にもったいない」ということで、再利用です。
コンテンツのSDGsです。
機密保持の関係で、お客さんにお渡ししたままの資料は使えませんから、これらの資料にひと手間加えて汎用的な資料にしたり、普段使いの提案資料をグレードアップしたりします。
コンテンツの棚卸をすると得られるメリット
圧倒的にコンテンツの厚みが増します。具体的に言うと
- やっておくとブログのネタ切れに困ることがない
- リスト集めのプレゼントが簡単に作れる
- メール講座が簡単に作れる
- ウェビナーのネタが簡単に作れる
なんでこんなことができるのかと言うと、集まったコンテンツを組み合わせることで、新しいコンテンツを生み出すことができるようになるからです。
本当ならやってみたいですよね。
では、実際のやり方を見ていきましょう。
コンテンツの棚卸の3ステップ
慣れれば超カンタンです。
- コンテンツの収集
- リストアップ&カテゴリ分け
- 再評価
1.コンテンツの収集
共有フォルダがあるなら、フォルダを徹底的に漁ります。
ないなら会社へ上申してファイル共有サーバを買ってもらって、社員が持っているローカルファイルを全部入れてもらいましょう。
2.リストアップとカテゴリ分け
ファイル名、コンテンツ名(タイトルに使用)、概要(説明文)、単品で機能するのか、補足が必要なのかを書いていきます。
これはコトウリの目録なのですが、軽くまとめただけで60ほどありました(たぶんもっとある…)。
まとめてやると超めんどくさいですし、面白い作業でもないので、これが唯一のデメリットかと思います。
細かいスパンでやることをおすすめします。(自戒)
テンプレート、レポート、セミナー資料などの使った用途で分けてもいいですし、○○商品説明、△△サービス概要などの内容で分けてもOKです。
3.再評価
資料を読んで仕分けをしていきます。
重要度が高かったり、お客さんのニーズが高そうなものは優先度を高めるようにマークしておいて、かなり手を加えないといけないコンテンツやニッチ過ぎて汎用性がないコンテンツなどの優先度を下げます。
また、同じカテゴリ内でも関連度や親和性が高そうなものはリストの位置を近づけておくなど順番を入れ替えておきましょう。
全部ひとりで作ってる場合でも、半年前に作った資料とかになると、「こんなのあったなー」となって記憶がウロ覚えになりますし、古参の社員が使っている年季の入ったテンプレのようないいコンテンツもあれば、何が目的で作られたのか分からない古文書のようなコンテンツに首をかしげるようなコンテンツもあります。
卒業アルバムを見るような懐かしい気分になって読むのに夢中にならないように注意しましょう。
これで棚卸は完了です。お疲れ様でした。
棚卸の後の3ステップ
棚卸が終わったら次はリストの活用に入ります。
- コンテンツの企画
- 企画案に優先度を付ける
- 計画の実行
ここからは楽しいですよ。
1.コンテンツの企画
コンテンツのリストを眺めていると、これまでやってなかった組み合わせが見つかることがあります。
例えば、
- レポートで学んだことをアウトプットできるテンプレートをプレゼントしたら喜んでくれるのではないか?
- レポートを順番に送っていけば、メール講座で疑似的なセミナーができるのではないか?
- PDFになっているコンテンツをブログコンテンツに転用できるのではないか?
- コンテンツが用意できたら、毎日つぶやくネタとしてSNSを利用できるのではないか?
などなど、ブレーンストーミングに最適です。目録を作った甲斐があるってもんですよ。
でも、作業はちょっと待ってください。
ワクワクする企画をすぐやりたくなる気持ちは分かるのですが、全体の戦略を立てて進めないとグダグダになります。
この段階ではどのくらい時間がかかるのか(工数)だけ出しておきます。
戦略的にコンテンツを作るには、1-1.コンテンツの調整と1-2.コンテンツの多角化のどちらかがいいでしょう。
1-1コンテンツを調整
ほとんど変えずに使う場合に使える考え方です。
作成資料を顧客が特定できないように、自社のキャプチャに差し替えるか、オリジナルの説明資料に差し替えます。
テンプレートを配布する場合は、すべてがダミーだと分かりにくくなってしまうので、サンプルが入ったデータと、空のデータ(お客さんが入力する用)があると使いやすいです。
または、空のテンプレートを渡して、説明用の資料や動画を別口で送るのも喜ばれます。
1-2.コンテンツを多角化
テキスト+画像ならばブログやレポートにできますし、ひとつのテーマを体系的に取りまとめれば立派なウェビナーになります。ウェビナーの内容をキリのいい単位で小分けにすれば、メール講座になります。
コンテンツ視点での多角化だと使いまわし?と思うかもしれませんが、お客さんの用途やスタイルに合わせてコンテンツを提供すると捉えてみるといかがでしょうか。
電車での移動中などのすき間時間で読みたい人はスマホで読めるブログがいいでしょうし、紙に出力して読みたい人はレポートがいいでしょう。
まとまった時間が取れるならウェビナーがいいですが、時間がないなら短時間や細切れ時間でも受講可能なメール講座が嬉しいですよね。
見込みのあるコンテンツ案ができたなら、「これ以上展開できない!」ってくらいに広げることをおすすめします。
2.計画に優先度を付ける
コンテンツの調整や多角化に必要な工数が算出できたら、どれから手をつけるか決めましょう。
複数のコンテンツを組み合わせた独自コンテンツに取り組むことを強くおすすめします。
ライバルに差をつけることができますし、コアになるコンテンツを作っておくとSEO的にも効果が見込めるからです。
もっとも、イチから作り直しになるようなコンテンツは後回しにして、ある程度型ができていて、当たりそうなコンテンツかつ時間がかからないものの優先度を高くしておきましょう。
チームで取り組んでいるなら振り分けも済ませます。
3.計画の実行
最初は3ヶ月から半年の計画がいいでしょう。
期限と責任者を決めて、一斉に取り組みます。
管理者は一人に絞った方がいいです。
共同でやると誰に聞いたらいいか分からなくなりますし、「あいつがやってくれてるだろー」と責任感が足りなくなることもありますからね。
また、「あいつはパソコンに詳しいから」と、安易に下っ端にやらせてはいけません。
大抵の場合、古参社員や先輩へ睨みが利かずに失敗、それ見たことかというアンチが湧いて弱い物いじめを始めます。
もし下っ端にやらせるなら、「〇〇さんの発言は私の発言です。」といったことを広く周知する上長からの後見が必要です。
Googleスプレッドシートなどでコンテンツごとの担当と、現在の進捗が確認できるといい緊張感が生まれるのでいいかもしれません。
コンテンツの棚卸を実施してより良いコンテンツを生み出そう
コンテンツの棚卸は管理が目的ではありません。
よりユーザーに喜んでもらえるコンテンツを生み出すことが目的です。
複数のコンテンツを組み合わせたリッチなコンテンツを作ってみてください。
難易度が高いということは、それだけ他社に追随されにくいってことです。
きっと他にはないあなただけの魅力になることでしょう。