新型コロナウイルスの影響で店舗で食事を提供していた飲食店は大きな影響を受けています。
「何とかしたい」という思いから、テイクアウトやデリバリーを始めた方も多いのではないでしょうか。
今までデリバリーをしたことがなかったがこれから始めたい
デリバリーを始めたが上手くいかなかった
といった方に向けて最短で成功するためのノウハウをご案内します。
売上を確保しながら進めることができるので、失敗も少なく、あなたのペースで進めて頂けます。
出店した時のことを覚えていますか?
あなたが今の店舗を持てるようになるまでのことを思い出して下さい。
自分が大好きなお店で修行して、人気店があると聞けば足を運んで研究して、ようやく独立。
独立してからは資金繰りやスタッフの教育、お客さんのあしらいなどを覚えていったのではないでしょうか。
あなたのこれまでの努力と経験が店舗を形作っています。
デリバリーはあなたの店舗の延長ではありません
飲食店という同じ業態でも、提供している料理が違えば調理工程は違いますし、客層も異なるので上手くいくノウハウは違いますよね。
同様に店舗の運営とデリバリーの運営では業態が違うため、上手くいくためのノウハウも違います。
デリバリーにおいても、修行してから独立するイメージを持って下さい。
このイメージが持てれば、もはや成功は約束されたようなものです。
あなたは既に修行を経験して独立したことがあるのですから。
では、デリバリーで成功するためにはどういった行動をすればよいのでしょうか、順番に見ていきましょう。
デリバリーで成功する最短の方法
デリバリーで成功する順番は3ステップです。
- ノウハウと資金を貯める
- 独立するための準備を始める
- 独立する
店舗の状況によって具体的な行動が変わるため、本記事では下記のような店舗がデリバリーを開始するという前提で話を進めます。
- スタッフはキッチン2名、ホール3名の計5名
- チラシやメニューは自店舗のスタッフが作っている
- ホームページの注文機能なし
- 食べログとGoogleマイビジネスあり
- パソコンとインターネット環境あり
ノウハウと資金を貯める
独立するための修業期間だと考えて下さい。
悠長に修行なんてやってる期間がない方も多いでしょうから、売上を確保しながら修行します。
2020年8月時点で必要な初期費用は50,000円~100,000円、修業期間の目安は3カ月~半年程度を目標にしましょう。
Uber Eatsが初期費用無料のキャンペーンを実施中!(予告なく終了することがあります。)お見逃しなく。
出前館とUber Eatsに出店申込をする
自店舗で集客するのは大変です。すでにお客さんを持っているデリバリーサービスにあなたの店舗を登録しましょう。
出前館は2020年4月から飲食店支援として初期費用20,000円が現在無料、Uber Eatsの初期費用は50,000円(写真撮影15枚付き)となっていますが、1,667円/週の30回払いで売上があれば相殺されます。
また、注文を受けるためのタブレットもレンタルできます(wifiモデルで1,000円程度、LTEモデルで2,000円程度)。
実質的な持ち出しが発生するケースはほとんどありません。
数あるデリバリーサービスの中から、この二つに出店をおすすめする理由は、多くの固定客を抱えているからです。それぞれのヘビーユーザーはわざわざググりません。調べません。アプリを立ち上げて注文します。つまり、デリバリーをよく使う顧客には、これらのサービスに登録しないと出会えないのです。
申込をすると担当から連絡が届きます。
出店申込が増えていることから、申込からサイトへ掲載されるまでに1~2ヶ月程度かかると考えておきましょう。
Uber Eatsに出店申込をする
メニューを選定して価格を決定する
担当から連絡がくるまでに、デリバリーサイトに掲載するメニューと価格を決めておきます。
登録が完了すれば掲載メニューの追加や更新はできるので、初期段階では店舗にあるメニューをそのまま掲載しても構いませんが、あなたの店舗じゃなければ買えない料理がある方が良いです。
競合になるのは、餃子の王将、CoCo壱番屋、吉野家、ガスト、マクドナルド、ケンタッキーフライドチキンといった全国チェーン店です。
デリバリーの場合は立地は問題にならず、写真で判断されます。
似たような見た目の場合は、知名度が高い方が選ばれる傾向が高いため、選んでもらえません。
出前館やUberEatsにアクセスしてあなたの店舗の住所を入れてみて下さい。
表示された店舗があなたの競合店舗です。
味は勿論ですが見た目で差別化ができるメニューがあると注文が入りやすいです。
健康に配慮したメニュー:低糖質、一日分の野菜、アレルギー対応など
男性向けのメニュー:見た目でボリュームを感じる、大盛り無料など
女性向けのメニュー:見た目が良い、インスタ映えするなど
価格はデリバリーサービスに支払う手数料を加味して、通常価格に60%~80%+容器代を上乗せした価格にしましょう。
配達容器を手配する
付き合いのあるパートナーがいるならば相談に乗ってもらうのが良いでしょうし、パートナーがいないならば「丼 容器」などで検索して目当ての容器を仕入れましょう。
出前館が提供する仕入館といった容器を購入するサイトもあります。
- 容器を仕入れたら必ず試す 出前後の料理と同じ状況(作ってから容器に移して10分~30分後)にして、作り立てとの見た目・味を比較することで、お客様に届く商品が分かります。 作り立てに比べて必ず味が落ちますが、調理工程を工夫したり、容器を見直すことで改善できる可能性があります。
- 容器代金をケチらない 将来的に独立するのですから、リピーターを増やすことに注力して容器にこだわりましょう。 高機能な容器はそれなりの単価になりますが、味を犠牲にするくらいなら容器代を上乗せした方がよっぽどマシです。
初期費用で50,000円~100,000円としたのは、Uber Eatsで売上がなかった場合に発生する初期費用もありますが、容器にこだわって欲しいからです。
何種類かを試して「これ!」という容器を見つけて下さい。
細かい部分に気づいてくれるお客さんは必ずいます。
数字と傾向を分析をする
出前館やUber Eatsに掲載されれば、当日から注文が入ることも珍しくありません。
エクセルや手帳などで当日に入った注文数、売上推移、メニュー、リピーターの有無、お客様からのご意見などを記録しておきましょう。
出店から1カ月程度経てば、流れが掴めるようになり、人気のメニューや売れていないメニュー、地域特性(配達員が到着する待ち時間)、忙しい時間帯や暇な時間帯などの傾向が見えてきます。
注文数は平日、土日祝日などの曜日の影響や雨などの天候の影響を受けます。
後日振り返ることができるように、天候やお客様の一言メモ、毎日の気づきなどは必ず記録しておきましょう。
記録があいまいだと問題点がボヤけてしまうため、次のステップに進めなくなります。
また、お客様からコメントを頂けることがあります。
お褒めの言葉からクレームまで多種多様なコメントが頂けますが、1時間以内を目安に必ず返信しましょう。
コメントをしたお客様はあなたからの返信を待っています。
アクティブな方が多いため、ファンになってくれる可能性が高いです。
最適化する
1、2ヶ月をメドに従来の店舗オペレーションとデリバリーの兼ね合いや、デリバリーの数字やお客様のコメント(主にクレーム)から事業の傾向を分析、問題点を洗い出して順番に改善していきましょう。
お客様のコメントは「冷めてる」「前に頼んだ時と量が違う」などがよくあります。
デリバリーならではの問題点ですが、こういったコメントは「改善してくれるならまた利用したい」気持ちの表れです。
容器を見直したり、調理から盛り付けまでの工程を見直すきっかけにして、お客様の気持ちに応えましょう。
配達用の料理を作るのに慣れてきて、目立った問題点がクリアされれば、次の段階に進めます。
- 配達の経験値を貯める
- 問題点を洗い出す
- 問題点を改善してリピーターを増やす
- 売上を確保して資金を貯める
独立するための準備を始める
デリバリーサービスを利用することで、一カ月、一週間、一日あたりの注文の流れもつかめてきました。
ある程度の売上予測を立てれるようになれば、自店配送の準備を始めましょう。
次のステップまでの期間は半年~1年くらいが目標です。
配達員を雇えるくらいの売上のメドが付くまでは、自店のスタッフができる範囲で始めるのが成功のコツです。
自店配送をするための足を確保する
最初は近場から始めるので、バイクではなく自転車を購入しましょう。
ホームセンターで出前用のカゴを買って、自転車屋に後部に付けてもらいましょう。
自店配送のトレーニングを始める
出前館、Uber Eatsは委託配送と自店配送を選択できます。
Uber Eatsは自店で配送するエリアを2~7km圏内で指定できるので、近場は自店で配送、遠方は委託配送といった使い分けも可能です。
※出前館は委託か自店配送のどちらかしか選択できません。
まずはUber Eatsの配達エリア指定で近場から、自店のスタッフで賄える範囲から始めましょう。
自店配送にすると、出前館に払う手数料が33%から10%、Uber Eatsに払う手数料が35%から12%と下がり、1件あたりの配送の粗利益が大きく上がります
楽天デリバリーを始める
楽天デリバリーは楽天が提供している出前のポータルサイトです。
宅配委託は楽天デリバリープレミアムというサービスがありましたが、現在は提供しておらず、注文を受ける機能だけあります。
全て自店配送が前提のサービスです。
初期費用は5,000円、1注文ごとに10%の手数料がかかります。
楽天デリバリーへ出店申込をする
自店配送に切り替える
配達専門のスタッフを雇っても十分利益が出るようになれば採用を始めましょう。
自転車で配達件数をさばくのが難しくなってきたなら、バイクを購入するのもひとつの手です。
楽天デリバリーとUber Eatsの近隣エリアの配達ができるようになれば、出前館も自店配送へ切り替えます。
※Uber Eatsはエリア指定で遠方は委託配送、近隣は自店配送という併用で良いでしょう。
配達員の手待ち時間は、次のステップで実施する宣伝の準備(チラシの二つ折りやDMの準備など)やポスティングをやってもらうのが良いでしょう。
採用の際に手待ち時間に何をしてもらうのかを伝えておいた方が、コミュニケーションロスがなくなります。
顧客情報を貯める
自店配送を始めると委託配達では分からなかった問題点が出てきたり、現地に行かないと分からなかったことに気づけます。
お客様とお会いする機会もありますので、今まではパソコンやタブレットの画面上にしかなかった顧客情報に血が通い始めます。
領収書を希望する方、ネギ抜き、つゆ多めなどの好みがある方、置き配を希望する方などを言われなくても対応できるようになると、お客様はあなたのファンになります。
「覚えてもらえてることが嬉しい」「あそこに頼めば面倒じゃない」ということがリピーター獲得の第一歩です。
最適化する
自店で配達することで出てきた問題点を解決して、商品メニューに見直しを加えましょう。
配達用の商品の調理工程や配達のオペレーションに自信がついた頃には、十分な資金も貯まっていることでしょう。
後は窓口を増やせば増やすほど売上は増えていく状況です。
- 自店配達の経験値を貯める
- 自店配達の問題点を洗い出す
- 顧客情報を貯めて独立した時に活かす
- 窓口を増やして注文数を増やす
- 粗利を増やす
独立する
ようやく独立です。
リピーターを電話やメッセージアプリ、ホームページなどへ誘導して注文を直接受けるようにしていきましょう。
自店で注文を受ければデリバリーサービスに手数料を払う必要はありません。
ホームページの管理を自店で行うなら、維持管理費は月間数千円程度、タブレットのレンタル代程度ですね。
もし、ホームページを持っていない場合は、もっと初期段階に作っておいてもよいかもしれません。
自店ホームページに注文機能をつける
直接集客するのであれば、注文機能と決済機能があれば、どういったホームページでも構いません。
将来的に冷凍やチルドなどで通販事業を始める可能性があったり、あなたのビジネスをブランド化していきたいのであれば、育てることができるワードプレスまたはShopifyで作ることをおすすめします。
普段は出前館やUber Eatsを使うけど、あなたの料理を食べたい時はあなたのホームページから注文するという流れが作れたら最高です。
Googleマイビジネスに宅配メニューの写真を投稿して、検索ユーザーも狙っていきます。
お客さんがあなたに直接注文するメリットを作る
出前館やUber Eatsに掲載している価格は、60%~80%+容器代(お客さんが払う価格は+配送料)です。
自店だと容器代くらいしかかかりません。
配送料を同額に設定しておけば、上乗せしている価格分のサービスが可能になります。
可能な範囲で価格を割安に提供する、自店ホームページで注文すると次回使えるクーポンやおまけがつくなどのお得になるキャンペーンをすれば自然に誘導できるようになります。
電話やメッセージアプリなどで注文を受ける場合は、現金の受け渡しがあるのでお釣りも準備しておきましょう。
※キャッシュレス決済に対応できるような端末を導入するのも、お客さんにとっては嬉しいサービスです。
誘導するためにチラシを作る
誘導するのは出前館やUber Eatsでお届けするお客様と、以前お届けしたお客様です。
自店に直接注文した方がメリットがあると分かるチラシやパンフレットを用意しましょう。
袋の一番下や一番上に置くよりも、おしぼりや箸袋と一緒の袋に同封しておくと、見てもらえる確率が上がります。
配達員の手待ち時間に近所にポスティングをしてもらう、以前注文してくれたお客様へDMを送る、リピーターには暑中見舞いや年賀状を送るなどの販促施策が効果的です。
パンフレットはグランドメニュー、チラシは季節感のあるメニューや新商品をアピールする目的で作りましょう。
ホームページを活用する
チラシは一旦印刷したら刷った枚数分を配布、余った分は廃棄することになりますが、ホームページは無駄になりません。
作ったら作った分だけサイトのパワーが強くなっていきます。
あなたの料理や素材へのこだわりを存分にアピールできる場所です。
チラシに載せきれない内容もホームページであれば紹介できます。
お客様からの声やメディア掲載実績など、信頼感を高めるページを増やしていきましょう。
能動的な営業が可能になる
期間限定キャンペーンやクーポンなども発行できるので、デリバリーサービス主導ではなく、自店手動で注文数をコントロールできるようになります。
また、ホームページを育てていれば、メディアの目に留まって報道されることもあります。
更新を続けていれば、目に留まる機会も増えますし、アクセス数は積み上がっていきますので、好循環が始まります。
- デリバリーサービスは新規顧客を獲得するツール。
- リピーターの注文は直接受ける。
- ホームページは注文機能と決済機能があればなんでもよい。
- おすすめは拡張性を考えてワードプレスとShopify。
- 直接注文をした方が得になるように誘導する仕組みを作る。
- パンフレットはグランドメニュー、チラシは季節限定メニューや期間限定クーポンをつける。
- ホームページを育ててアクセス数を増やす。
まとめ
- デリバリーと店舗運営は業態が違うと心得る
- デリバリーを成功させるには、修行・準備・独立という工程を踏むことが必要
- 問題を放置せずに解決してから次のステップへ進む
- 焦って進めても上手くいかない
- デリバリーサービスは新規顧客、リピーターやファンは自店のホームベージと割り切る
自店で集客できるようになるまで最短で半年、平均すると1年程度はかかります。
回り道のように感じるかもしれませんが、資金をかけず、特別なノウハウも使っていません。
売上を確保しながら進めることができるので、失敗も少ないでしょう。
無理のないペースで進めるならば最短の方法です。
コトウリはショップ運営のアドバイスやホームページ、販促物の制作のお手伝いをしています。
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