中小企業が最速でDX(デジタル化)を実現する3ステップ

中小企業が最速でDXを実現する3ステップサムネイル

2021年9月にデジタル庁(https://www.digital.go.jp/)が設置されました。
「これから本気で取り組むよ」という政府の意気込みが示せたのかと思いますが、みなさんはいかがでしょうか。

DXにおける政府と中小企業の温度差
右側は政府やDXに成功した企業で、左側がそれ以外の企業

正直なところこんな感じの温度感な気がします。

目次

なぜ「DX」がピンとこないのか?

  • 横文字で小難しい
  • 言ってることが人によってバラバラ(解釈が異なる)
  • 前提になる知識が足りてない
  • 取り組んだらどうなるかイメージできない
  • 自分に関係があることかどうかが分からない

などなど…

ぶっちゃけ説明している人が8割くらい悪い気がしています。
「ためになるなー」という講義は専門用語の連発ですし、初心者向けの講義だと言葉の定義で終わってしまって時間の無駄ですし…。

ちょうどいい記事がないなら、作ってみようということで書くことにしました。

DXに取り組んだらどうなるのか(メリットとデメリット)

「DXとは?」などは、記事の最後の方に入れてます。
記事を読んだ後の方が頭に入る構成にしていますので、まずはメリットとデメリットを読んで、「自分に関係があるのか?」「やった方がいいのか?」の判断を養ってください。

DXに取り組むメリット

DXに取り組むと、人が本来やるべき作業に集中できるようになります。
繰り返し作業や、定例業務はコンピュータにやってもらって、人間は出てきたテスト結果をもとに判断するといった流れが生まれます。

「誰でもできる作業」がなくなることで

  • 生産性が高まる
  • 労働環境がよくなる
  • 優秀な人材が集まる

といったメリットがあります。

ただ、「使いこなす」という言葉の通り、効果には個人差(企業差)があります。

「ウチのソリューションを導入したら生産性が上がりますよ!」と営業電話やメールが着ても、自社に向いていて使いこなせる人材がいないと宝の持ち腐れになってしまうので注意しましょう。

DXに取り組むデメリット

デメリットは「変化」に伴うコストの増加と、既存スタッフの心理的な抵抗です。

  • 一時的に生産性が落ちる
  • 学習・教育コストの増加
  • これまでのやり方に固執する抵抗勢力との対立

新しいことに取り組む際は誰もが初心者ですし、慣れてもらうために余計なコストがかかります。

3つ目の「抵抗勢力」がDXに失敗する原因としてはトップかと思います。
若手社員にDXの推進リーダーを命じておきながら、トップや幹部が今までのやり方に固執してるなんて笑い話のような本当の話がゴロゴロでしています。

伊達に30年間を失ってませんよね。

DXに取り組まなかったらどうなるのか(リスク)

コンピュータは繰り返し作業に強いですし、DXに取り組むのが早ければ早いほどデータやノウハウが集まるので有利です。

逆に言えば、取り組まないと生産性の低い繰り返し作業に高い賃金を払い続け、データやノウハウが貯まっていかないことになります。

つまり

  • 取り組んだ企業との生産性の差が広がる
  • 優秀な人材が応募してくれなくなる
  • 買収される(倒産する)

負のスパイラルですね…。

退屈な定型作業しかしなくていいが、労働時間が長く給料が上がらない会社と、テスト結果や集まったデータを元にチャレンジができてワークライフバランスがしっかり取れるし、結果が出れば給料が上がる会社だったら、どちらを選ぶでしょうか?

少子高齢化で労働人口は減っていくのですから、選ばれる会社にならないと生き残っていけません。

DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現する3ステップ

「じゃあ、どうすればいいんだよっ」ということで、DXに至るまでの3ステップを紹介します。

DXを実現するまでの3ステップ
  1. データを収集する
  2. データを利活用する
  3. DXを実現する

見やすいように平面で書いておきましたが、実際はこんな3次元的な動きになります。

DXは平面ではなく3次元的な動きになる

順番に解説していきます。

1.データを収集する

コンピュータには「勘」なんてものはありませんし、「なんとなく」なんて曖昧なものもありません。
デジタルデータにしてあげないと、コンピュータは何の手伝いもできないのです。

ですから、DXの最初のステップは「データの収集」です。

今回集めるデータはなじみのある「売上」「勤怠」「給与」「日報」にします。

青色はデータ、緑色はノウハウ
青色はデータ、緑色はノウハウを示しています

DXは集めたデータと試行錯誤によって得たノウハウによって実現できます。

1-1.アナログをデジタルにする

売上データは、紙の帳簿をエクセルにしたり、会計ソフトに打ち込む、あるいはクラウド会計ソフトを利用するなどでアナログだったデータをデジタルデータに変換することができます。

勤怠データは、紙のタイムカードからICカードリーダーやクラウドで勤怠管理ができるサービスを導入するなどですね。

給与データは、勤怠と密接に関わっているので同様のサービスを導入することになるかと思います。

日報データは、紙の日報をエクセルなどで作ったフォーマットに打ち込む、社内用のシステムを作成する、グループウェアの導入などが一般的かと思います。

どのデータ収集においても、クラウド環境が大きなシェアを取りつつあります。
データ通信量が安くなり、スマートフォンの普及が進んだことで、データ通信が水道水のような感覚で利用できるようになったのが原因でしょう。

場所に縛られない働きかたができるようになりましたから、リモートワークも可能ですし、万が一自宅待機(自宅隔離)などのケースに見舞われたとしても、業務に支障が少なくなります。

2.データを利活用する

データの収集でアナログをデジタルへ切り替えたら、次はデータの利活用を考えていきます。

データを積み上げて、分析し、行動を変える

2-1.データを積み上げる

ある程度の期間が経つまでデータは積み上げます。(というか、最初は放置しておきます。)

一過的な「ぶれ」かもしれませんし、その年度特有の事象などの「たまたま」かもしれないからです。

記憶媒体が大容量かつ低価格になったため現実的になりました。

2-2.データを分析する

最低でも3ヶ月程度、できれば半年から1年程度のデータが貯まったら分析をはじめましょう。

収集したデータ単体で傾向を見つけてもいいですし、組み合わせて分析することで単体では気づかなかった気づきが生まれます。

データの分析例

「売上データ」「勤怠データ」「日報データ」を組み合わせて売上のいいスタッフにはどのような傾向があるのか、または売上のよくないスタッフにはどのような傾向があるのか、比較したらどういった違いがあるのかといった差異をみつけることができます。

データの分析だけで分からなければ、該当のスタッフに聞き取り調査をしたり、同行して観察することで補完していきます。

2-3.データを元に行動を変化させる

考察や気づきを標準化していきます。

行動を変化させるための標準化の図

マニュアルや基準を作って、使っていきます

もちろん、絶対に守らないといけないという類のものではなく、暫定的なルールです。

「共通の物差し」をつくることで、組織の共通認識ができることが狙いです。

共通認識ができると、コミュニケーションが簡単になりますし、教育も楽になるので、より高度な指導が可能になります。

ここまでくればDXの実現はもう間近です。

3.DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現する

行動を変化させることで、新しい取り組みについてのデータが積み上がり、それを元にデータを分析すると、新しい考察が見つかって‥‥といった具合にループさせていきます。

このループが始まると「正のスパイラル」が生まれて生産性が爆上がりします

「自社の変革」という点においては「正のスパイラル」が生まれた時点で大成功となります。

データの利活用によってDXは実現できる
2-1~2-3がループしているところがミソ

データの上にノウハウが積み上がれば、これまでの自分とは状況が大きく変わっていますよね。

ところで…ここまで磨き上げたノウハウ(成功事例は自社)って売れると思いませんか?

磨き上げたデータやノウハウを基に新しい製品を開発したり、サービスを提供することで、新しい事業を創造することができるようになります。

製品ならAI、サービスならコンサル

  • クラウドツールを販売する
  • 実績を前面に押し出して個別にコンサルティングをする

などがよくある成功例です。

積み上げたデータとノウハウを製品化したりコンサルサービスに落とし込む

クラウドツールの核になるのは「専門家AI」や「アルゴリズム」です。

集めたデータや成功事例(ノウハウ)を元に「どうすれば成功に近づけるのか」についてプログラミングしたり、AIを教育することで、その分野の専門家AIを作り出すことができます。

プログラミングされたシステムに乗っ取って、専門家AIがサポートしてくれるから、高性能なツールが定額(月5万くらいが主流です)で使い放題になりますし、作り出した側も人件費がかからないのでwin-winな仕組みになっています。

クラウド会計ソフトとか、MA(マーケティングオートメーション)ツール、SFA(営業支援)ツールなどはシステムを元に専門家AIが補助する仕組みになっていますが、同様の設計と言えるでしょう。

まとめ

  • DXはデータとノウハウの結晶から生まれる
  • データ収集のためアナログからデジタルへ切り替える
  • 様々な組み合わせでデータを分析する
  • 個から得られた考察を標準化する
  • 高めたノウハウと成功事例はみんなが欲しい(売れる)

この記事を読んで「ウチもあのデータを取ってみるか」と思ってもらえれば幸いです。

もし、DXについてお困りのことがあれば、相談してください。

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コトウリは「0.戦略を立てる」ところからお手伝いします。

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ここから先は関連用語です。
記事にするほどのボリュームがなかったので、補足として載せておきます。

DX関係でよく出てくる言葉

DXの実現にはデータ収集やデータの利活用といった段階があることを解説してきましたが、専門用語でいうならばデジタイゼーションデジタライゼーションといった言葉があったりします。

そんな中、「デジタル化」という言葉はもっとも”ふんわり”した言葉で色々な意味を内包しているのかなと思います。

デジタル化とDXの違い

図で書くとこんな感じ。
「デジタル化」という言葉が人によって解釈が変わるのも無理はないですよね。

デジタイゼーション(digitization)とは?

  • 紙で書いていた日報をエクセルにする、クラウドの報告ツールにする。
  • 紙のタイムカードをICカードに変える。
  • 手書きの帳簿を会計ソフトに変える。

などのこれまでアナログをデジタルに切り替えることです。

「クラウド」などが一緒によく出てきますが、クラウドはデジタル化の手段のひとつです。

クラウドを導入すると、インターネットに繋がっていればオフィスソフトが使えたり、ファイルの更新や閲覧ができるようになるので、場所に縛られなくなります。

例えば、遠方へ営業に出ていた社員が「日報書かないと…」とか、「お客さんに言われた資料が会社のパソコンにしかないから取りに帰らないと…」なんてことがなくなります。

労働環境がよくなるので、離職率の低下なども期待できるのではないでしょうか。

デジタライゼーション(digitalization)とは?

  • 訪問していたのをWeb会議にする。
  • ネット通販を始める。
  • Web集客のためのマーケティングチームをつくる。

などのデジタル技術を使ってこれまでの行動を変化させることや、本記事内で紹介したデータの利活用によってこれまでの行動を改善するような行為がデジタライゼーションと呼ばれます。

収集したデータを基に自社のノウハウを固めていき、可能性を広げることができれば、いよいよデジタルトランスフォーメーションが待っています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

先述したよくある例の他には、

  • 小口の同業者を集めて大手と張り合えるサービス
  • 来客予測AIツール

などがあります。

どちらも本業で得たデータやノウハウを元に、これまでとは大きく異なる製品やサービスを展開されています。

小口の同業者を集めて大手と張り合えるサービス

受注用のポータルサイトを作って、加盟した町工場に仕事を割り振るといった新しいビジネスです。

製造業DXの成功事例としてIPA(情報処理推進機構)のYoutubeチャンネルに紹介されています。

中小規模製造業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するために【ウチダ製作所】「DXを活用した遠隔金型づくり『FuB』の取り組み」(https://www.youtube.com/watch?v=-lQkAeEySg4&list=PLi57U_f9scIKNGC2vyqL-ylfdmls3xrCH&index=6&ab_channel=IPAChannel

来客予測AIツール

伊勢の老舗食堂の成功を全国拡大
「来客予測AI」ツール(https://ebilab.jp/news/155/

ニュースリリースが開きます。

2025年の崖とは?

企業向けのシステム会社最大手のSAP社が、「これからはクラウドに切り替えます。2025年以降は、もうサポートしません。」(現在は2027年末になっています)と発表したことで、対応が迫られることになりました。

サポートなしで使うこともできなくはないですが、新しい機能は追加されないですし、警備員がいなくなったシステムは、泥棒にとっては狙い目のシステムになりますので、セキュリティ面においてはリスクが高いでしょう。
万が一システムが停止した際に障害に対して自社で向き合わないといけませんし、対応中は業務自体が停止してしまいます。

レガシー(負の遺産)システムとは?

導入当初から部分的に改修を重ねて「ハウルの動く城」のような”いびつなシステム”になっているシステムのこと。
改修に至るまでの経緯を理解しているエンジニア以外は対応できず、担当者が辞めてしまったらメンテナンスすら怪しくなる。
言われるがままに手を加えたエンジニアとわがままな要望を伝えて自分を変えようとしなかった使用者双方の作品です。

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