本ページはプロモーションが含まれています。
エフェクチュエーションセミナーに参加した際に講師の吉田満梨さんのおすすめ書籍だったので購入。著者は愛知県岡崎市にあるオカビズという支援施設のチーフコーディネーターです。4,400社、29,000件の事業相談から、どのようにすれば「自分だけからできる仕事」にたどり着けるのかを紹介してくださっています。
フレームワークによって漏れなく分析して、リフレーミングによって意味付けを変えて、発想によってヒット商品を生み出しています。
強みが思いつかない人に向けたステップや、イノベーションのための観察力の磨き方、具体と抽象の行き来のためのタグ付け発想法など、具体的に紹介してくれています。理論だけではなく事例も紹介してくれているので理解が深まりますし、面白かったです。
いいと思った点
- 徹底的ないいところ探し
- 「なぜ自社の商品・サービスを利用しているか」をお客さんに聞く
- 自己分析はひとりではできない
- すぐに、ちょっとやる
ないもの探しではなく、あるもの探しという点がエフェクチュエーションの考え方に共通してますね。
強みの10類型
- 技術
- 製品
- サービス
- デリバリー
- 社会的価値
- ターゲットの取り方
- ひと
- 歴史・信頼・実績
- 製造プロセス
- 組織分化・チーム
いいとこ探しをする視点として紹介しておられました。知的資産経営では、社内の目に見えない資産として人的資産、組織・技術資産、情報資産、風土資産、理念資産や対外部の関係資産、顧客利便価値などから企業のええとこを見出します。業務流れからいいところを見つけるのは、ローカルベンチマークの業務フローなどと共通しています。
タグ付け発想法
- ものごと:商品・サービスそのものの特徴
- じぶんごと:その商品やサービスから得られる便益
- 社会ごと:その商品やサービスを必要とする時代背景、社会課題、意味付け
- おみごと:商品・サービスをビジネスモデルとして捉える
商品・サービスを分析するためのフレームワークです。佐藤可士和さんも佐藤可士和のクリエイティブシンキングで類似のものごとの見方を紹介していました。自分の目に入るものごとを要素に分解して頭の中に入れておいて、「これと似ているのでは?」「この課題であればこっちが使えそうだ」と類推してアイデアを発想しています。
本書での最大の気づきは、世の中にあるツールや発想方法などを知るだけではなく、使いながら自分なりの支援方法を身に着けようと思った点です。著者にも初心者の時期はあったでしょうし、支援の現場で様々なツールを使っていく内に「なんか使いにくいなー」と感じて追加したり削ぎ落したりして独自のスタイルが出来上がってきたのだと思います。
まずは知的資産経営のスタイルを身に着け、タグ付け発想法を日々のあれこれに活かしていこうと思います。
エフェクチュエーションとは
熟達した起業家の意思決定実験から発見された考え方です。
ざっくりと流れを言うと、手持ちの資源や制約から何ができるか考えて実行に移す。実行すると仕事のノウハウが手に入って少し自分のレベルが上がったり、仲間(協力者やパートナー)ができる。実行前よりも強いチームになっているから、できることが増えるし、アイデアや資金にも余裕ができて、さらに大きな仕事ができる。
実行を繰り返している内に、どんどん成長してすごいことができるようになる。というものです。ポイントは本気でやることでしょうね。本気でやっていれば、評価してくれる人は必ずいます。起業家にとって一番大切なのは情熱ですし、ビジョンを語っていると共感する人が集まってきます。様々な人を巻き込んで大きな仕事に取り組んでいくのは面白いです。
エフェクチュエーションの成功例
有名な話ではフリクションなどが挙げられます。消せるボールペンとして誰もが知っている大ヒット商品は日の目を見るまでに結構な時間を経ています。
株式会社パイロットコーポレーションの研究者が温度によって色が変わるインクを開発して特許を取ったのが1975年。フリクションが生まれたのは2006年です。実に30年以上かかって世に出て来たんですね。
開発者は「この技術を世に広めたい」と、様々な商品開発に乗り出すも、ヒットは生まれませんでした。ただ、引き合いはあったので研究は続き、海外に持っていった際に「色を変えることができるなら、色を消せない?」と言われて鉛筆代わりに使えるフリクションが生まれたというものです。2006年に海外で先行発売されて、2007年の3月に日本に逆輸入される形で発売され、大ヒットとなったわけです。
色が変わるインク(手持ちの技術)が「消せない?」という問いかけ(協力者)によって新商品が生まれたわけです。イノベーションは新しい組み合わせ、新結合と言われます。鉛筆にとっては消せるのが当たり前ですが、ボールペンにとっては新しい発想になります。「消せないもの」という思い込みや常識が邪魔をしていたのでしょう。
異業種から転向した人が業界をぶち壊すのは、業界をフラットに見れて先入観などもないからかもしれません。
エフェクチュエーションが評価される理由
エフェクチュエーションの対になる考え方として、コーゼーションというものがあります。こちらは明確な目的があって、最適な手段を取るため従来のマーケティングの考え方になります。市場や生活者の調査をしてから開発を始めて製品を作り…という流れですね。
ただ、計画を立てて製品を作っている間に前提条件が変わってない?というケースが出てくるようになりました。調査費はムダになってしまいますし、時間をかけにくい時代になってしまったのです。だから、まずはやってみて成長しながら条件の変化に対応できるようになろうというエフェクチュエーションが評価されているのだと思います。
システム開発の現場だと、ウォーターフォールに対してのアジャイルというものがあります。仕様を決めて一気に制作するウォーターフォールに対して、プロトタイプやベータ版でテストしながら公開していくアジャイルは、コーゼーション型とエフェクチュエーション型と同じ考え方だと感じました。
業界を変えれば構造が似ているものはたくさんありますね。具体と抽象を読むとさらに学びが深まると思います。

